国際標準への転換とセキュリティ
2015年12月2日から3日間、東京ビッグサイトにて開催された、プラント・工場の制御システムに関する国内最大のイベントであるシステムコントロールフェア(SCF)/計測展2015では、数多くの出展者がスマートファクトリーの概念を謳っており、表向きは、その気運が高まってきた。
しかし、本記事で考察したように、スマートファクトリーが大きく発展していくために不可欠なOPC UAのような国際標準への適合を全面に押し出している企業はほとんどなく、まだまだその道のりは遠いとも感じた。
今回の記事は、スマートファクトリーのセキュリティ脅威と対策というよりも、スマートファクトリーに踏み出せない日本の現状に焦点が当たってしまったが、こちらの脅威のほうがセキュリティの脅威よりもよほど問題である。
このような環境を変えるには、実はベンダからではなく、多くのエンドユーザーが、国際標準への適合をベンダに要求していくことが最初のステップとなる。ただし、エンドユーザーが抱える制御システム技術者も、国内ベンダのシステムしか扱えない場合が多いため、エンドユーザーにとっても痛みを伴うものとなるだろう。そして、その大きな転換を行う際に、必ずセキュリティ対策を考慮してほしい。セキュリティ対策を後から行うのは大きなコストとなるからだ。
次回は、今回と同じく、M2M/IoTの業界を切り口にテーマを掘り下げる目的で、スマートハウス/スマートシティのセキュリティの脅威と対策について紹介する。
(第6回に続く)