NANのレイヤ構成
表1に示すように、NANのレイヤ1(物理層)では、IEEE 802.15.4のNAN向け修正規格であるIEEE 802.15.4g(SUN:Smart Utility Network、スマートグリッド向けネットワーク)をベース技術として利用する。IEEE 802.15.4gは、主にサブギガ帯(1GHz未満)を利用する規格であるため、日本では920MHz帯が利用されることになる。
さらに、NANのレイヤ3(ネットワーク層)とレイヤ4(トランスポート層)では、IETFで規定されたIPv6と、その関連するネットワークやトランスポートプロトコルであるRPL(表1参照)、UDP、TCP、および関連するセキュリティ機能をベース技術として利用する。
表1 NAN規格のレイヤとプロトコル構成
NAN標準化を行う重要な目的
また、ZigBeeアライアンスがNANの標準化を行う重要な目的は、独立したテスト機関がサポートする認証プログラムを提供することである。独立したテスト機関としては、テュフ(TÜV)ラインランドやNTSなどの機関が想定されている。
また、電力会社やガス会社がメーターベンダや関連製品を選定する際に、ZigBeeアライアンスは関連製品の登録をサポートしていく。例えば、電力会社が調達をかける場合に、「ZigBee NAN準拠のスマートメーター」というように表現することをイメージしている。ZigBeeアライアンスでは、すでにSEP(スマートエネルギープロファイル)など、他のアプリケーション分野において、認証プログラムの豊富な経験がある。
すでに、ZigBeeアライアンスではNAN規格については、市場の要件や詳細な技術要件を定義する文書が完成している。また、レイヤ1〜2の相互接続テストも昨年(2013年)数回実施されており、いくつかのメンバーでは、IPレイヤの相互接続も実証している。
現在策定しているNAN規格は、技術仕様だけでなく認証のテスト仕様なども含めて、2014年末には完了する予定となっている。