≪1≫ユビキタス・センサ・ネットワーク
ネットワーク上に存在する「バーチャル」な情報を伝達する仕組みがインターネットだと考えると、実社会の「リアル」な情報をネットワーク上に取り込み、それらを融合させて、より現実的な世界を実現することが、NGNの提供する価値の1つと考えられる。そこで、「リアル」な情報をネットワーク上に取り込む仕組みの1つとして、「ユビキタス・センサ・ネットワーク」が注目される。
ユビキタス・センサ・ネットワークは、通信インフラを必要とせず、いたるところに設置した多数の小型センサ・デバイスから情報を収集するネットワークであり、収集した情報を元に新しい機能やサービスを実現する。センサ・デバイスには近距離通信の無線装置が組み込まれており、アドホックにデバイス同士が接続してネットワークを構成し、センサが取得したデータをマルチホップに集めることが可能である。ユビキタス・センサ・ネットワークで集められたデータは、ゲートウェイ(GW)を介して既存のネットワークへ伝送される。
小型デバイスに搭載するセンサには、以下のような種類がある。またセンサ以外にも機器を制御するような「アクチュエータ」を搭載する小型デバイスもある。
環境情報取得センサ:温度、湿度、照度、圧力、振動、赤外線、加速度、煙、CO2濃度、花粉、音量、降水量、など
生体情報取得センサ:体温、心拍、発汗、心電、筋電、血圧、血流、血糖値、など
アクチュエータ:照明・空調のON/OFFスイッチや切替スイッチ、可変量スイッチ、各種機械装置(家庭、オフィス、工場、車内など)の制御スイッチ、など
これらのセンサやアクチュエータを備えた小型デバイスを利用して、さまざまな観測システムを実現できる。例えば工場において、機械装置の回転部分に振動センサを取り付けて回転軸のブレを観測することで、モータの劣化などを保全管理することができる。また、オフィスに数m間隔で温度センサを設置し、従来よりも小さいエリア単位で温度分布を管理すると共に、空調の吹き出し口に風向や風量を制御するアクチュエータを設置して、エリアごとに空調制御することで、快適な空間を実現することが可能となる。