[新動向]

IoT・スマートグリッド時代に必須なECHONET Lite/AIF認証、HANプロファイル認証

― テュフ ラインランドが4月から新認証制度「AIF認証」をスタート ―
2016/05/09
(月)

テュフ ラインランド ジャパンの認証試験

〔1〕スマートグリッドの関連機器への対応状況

 図2は、テュフ ラインランド ジャパンによる国内のスマートグリッド関連の認証試験の対応状況を示している。

 スマートグリッド時代に向けて、経済産業省におけるスマートメーター制度検討会は、一般家庭などの電力需要家に向けて、家庭における電力の使用量に関する情報(エネルギー使用情報)を開示・提供するための情報ルートとして、図2に示すAルート、Bルート、Cルートの3ルートを規定した(2011年2月)。その後、国内においてこれら3ルートの通信プロトコルの標準化が進められ、テュフ ラインランド ジャパンは、第三者機関として、標準化動向に応じた認証・試験活動を展開してきた。スマートグリッド関連の国内動向と同社の具体的な認証試験サービスの展開がどうリンクしているのか見てみよう。

図2 テュフ ラインランドの国内スマートグリッド関連認証試験の対応状況

図2 テュフ ラインランドの国内スマートグリッド関連認証試験の対応状況

出所 指定 テュフラインランド、「スマート社会・電力自由化に向けた取り組み最前線セミナー」資料より

〔2〕OpenADR認証試験

 国内のスマートグリッド・スマートハウスの整備を目的とするスマートハウス標準化検討会の平成24年(2012)度中間報告の課題の1つとして挙げられたのが、デマンドレスポンス(DR)技術の標準化だった。日本国内におけるDRについては、早稲田大学EMS新宿実証センターを中心に実証が行われ、国内の標準として制定された「デマンドレスポンス標準インタフェース仕様書(v1.1)」の中で基本技術仕様として使われているのがOpenADRである。OpenADRは、特に北米を中心に実証や実用化が進み、IEEEやIECでも標準化が進んいる。

 現時点では、電力需要抑制のために、電気事業者からのDR信号がOpenADRベースで送られることは決定し、その信号を受け取るアグリゲータなどとの間で標準仕様となっている。今後、DR技術は、アグリゲータが需要家側のエネルギーリソースを最適に遠隔制御し、系統の調整力にも利用できる仕組みであるVPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)への適用に関する検討も進んでおり、その標準通信仕様としてもOpenADRへの期待が高まっている。

 テュフ ラインランド ジャパンは、Open ADRの普及を目的とした標準化団体のOpenADRアライアンスより、認証試験機関として2014年に認定を受けている。OpenADRの認証を取得するためには、同社のようなOpenADR認定の試験機関注9で認証試験を受け、その試験レポートをOpen ADRアライアンスに提出する必要がある。

 また、テュフは、OpenADRアライアンスによって定められた認証試験仕様書に基づいた試験サービスを、製造者などの申請者に提供している。

 認証や試験に不慣れな申請者には、事前試験や認証コンサルも提供し、OpenADR認証取得までフォローアップしている。現時点では、OpenADR 2.0b仕様が国内仕様を網羅したものになっており、ほとんどの申請がこれにあたる。DR信号を送るVTN(Virtual Top Node)とDR信号を受けるVEN(Vietual End Node)の、大きく2つの認証試験が用意されている。

〔3〕Wi-SUN・G3-PLC認証試験

 スマートメーターと家庭内(建物内)の機器(主にHEMSコントローラ)をつなぐネットワークがBルートと呼ばれ、スマートメーター制度検討会の課題の1つとして、低圧スマートメーターのBルート通信の下位層(メディア)の特定が検討されたが、最終的に「主方式」には920MHz帯無線でIP対応のWi-SUN、「補完方式」として有線のG3-PLCが電力各社共通で採用された。

 それぞれWi-SUNアライアンス、G3-PLCアライアンスからBルートプロファイルの認証制度および仕様書・試験仕様書が制定され、両者とも2014年に国内のスマートメーター計画に合わせた形で認証がスタートしている。

 スマートメーター制度検討会では、HEMSコントローラにつながる重点8機器の運用ガイドラインも検討された。スマートメーターもHEMS重点8機器の1つであるが、それ以外には、太陽光発電、蓄電池、燃料電池、EV/PHV、エアコン、照明機器、給湯器がある。

 Wi-SUNアライアンスは、スマートメーターで採用されたBルートプロファイルとは別に、HANプロファイルとしてHEMS重点機器用の仕様をまとめ、2015年11月に認証をスタートしている。

 テュフ ラインランド ジャパンは、Wi-SUNの普及を目指す標準化団体のWi-SUNアライアンス、G3-PLCの普及を目指す標準化団体のG3-PLCアライアンスから2013年にそれぞれ認証試験機関として認定されている。Wi-SUNの認定試験機関は、現時点で全世界で3カ所、その中でテュフ ラインランド グループの2つのテストラボ(日本と北米)が認定されている。G3-PLCの認定試験機関は、全世界で2カ所のみとなっている。

 Wi-SUNのBルート認証数は、2014年の認証開始以来、スマートメーター、HEMSコントローラ、関連プラットフォームを合わせると40を超えており、その大部分の認証試験がテュフ ラインランド ジャパンで実施されている。また、Wi-SUN HANプロファイルは、2015年11月より開始されており、HEMSコントローラおよび重点機器の搭載が進み、現時点で10以上の製品が認証され、今後も認証数の増加が期待されている。

 G3-PLCの国内Bルート仕様のスマートメーターは、Wi-SUNのそれに比べるとまだまだ数が少ない傾向だが、「補完方式」として無線が届きにくいスマートメーターの設置条件下では必要になるため、それに応じて認証製品も伸びると考えられる。G3-PLCに関して、テュフ ラインランド ジャパンでは、国内のARIBに加えて、欧州のCENELEC-A、北米などのFCCにも認証試験対応しているので、G3-PLC製品の海外展開にも有効である。

〔4〕ECHONET Lite/AIF認証試験

 平成24(2012)年のスマートメーター制度検討会で、ECHONET Liteが上位層として採用が決まり、エコーネットコンソーシアムでは、スマートメーターの接続互換性の向上のためにSMA認証制度を用意した。これは、ECHONET Lite規格書(Appendix含む)だけでは規定できない各機器固有の設定を定めたものである。

 また、エコーネットコンソーシアムは、2016年4月からスマートメーターに加え、他のHEMS重点機器に対してもそれぞれの「AIF仕様書」を策定し、新たな認証制度を2016年4月より開始した。同コンソーシアムは、この同じタイミングで認証機関および試験機関の刷新を行い、それぞれについて8機関が認定されている注10。テュフ ラインランド ジャパンは、認証機関、試験機関のいずれもエコーネットコンソーシアムより認定されている。

 例えば、下位層がWi-SUNのスマートメーターの認証の場合、申請者は、「Wi-SUN」「ECHONET Lite」「SMA(AIF)」の3段階の認証が必要であり、それぞれの認証の申込先も試験場所もほとんどがバラバラだったため、申請者にとってはわかりづらく、最終的に全部の認証を取得するのに手間を要するという、ハードルの高いものであった。しかし、同社のようなワンストップで製品全体の認証と試験を提供できる第三者機関ができることによって、難解と思われがちな標準化団体の認証取得作業がかなり軽減されることが期待される。


▼ 注9
全世界で6カ所、その中でテュフ ラインランド グループでは日本と韓国の2つ。

▼ 注10
【認定認証機関】日本電気計器検定所、株式会社 UL Japan、テュフ ラインランド ジャパン株式会社、一般財団法人 電気安全環境研究所、アリオン株式会社、一般財団法人 テレコムエンジニアリングセンター、株式会社シーイーシー、一般財団法人 日本ガス機器検査協会
【認定試験機関】株式会社 UL Japan、日本電気計器検定所、テュフ ラインランド ジャパン株式会社、パナソニック株式会社 製品セキュリティセキュリティセンター、一般財団法人 電気安全環境研究所、一般財団法人 テレコムエンジニアリングセンター、株式会社シーイーシー、一般財団法人 日本ガス機器検査協会
http://echonet.jp/ninsyo-kikan/
(2016年4月22日現在)

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