CFP算定を支援するサービス「NEC CFP Management」
日本電気株式会社(以下、NEC)は、製造業を中心に、製品のカーボンフットプリント(CFP)注1の算定を支援するサービス「NEC CFP Management」を開始した。同サービスは、初期アセスメントから、PoC(概念実証)、多製品への本格展開・運用までを支援する。CFPを算定するための業務を定着させ、持続可能なサプライチェーンの構築につなげるという。NECが2025年6月11日に発表した。
図1 「NEC CFP Management」の3つの支援ステップ
出所 PR TIMES NEC 2025年6月11日、「NEC、製品カーボンフットプリント算定を支援するサービスを提供開始」
初期アセスメント・PoC・本格導入の3ステップで支援
NEC CFP Managementは、初期アセスメントとして、CFP算定に向けた企業の準備状況を短期間で診断する。具体的には、算定対象製品の特定から始め、準拠すべき制度要件や算定ルールの確認、さらにはBOM(Bill of Materials、部品表)注2、生産、輸送、廃棄といったデータの保有状況を確認し、算定する上でのボトルネックを明らかにする。
PoCでは、アセスメントで選定した1つの製品を対象に、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)から成るPDCAサイクルを試行する。この過程で、ライフサイクルステージや単位プロセスの設定、データ項目の洗い出し、手順書の作成、原単位引き当て・一次データ取得の検討、カットオフ基準の仮設定などを計画。その上で、算定ツールへのデータ投入、積み上げ計算、プロセスやカットオフ基準の見直し、算定過程での課題抽出を実行する。その後、排出の集中箇所を特定するホットスポット分析などを実施し、算定方法の妥当性や実際の業務・システムとの整合性を検証して改善案を提案する。
最終ステップである本格導入では、PoCで得た知見をもとに算定対象を他の製品群へと拡大し、本格的な運用フェーズへ移行する。ここでは、算定手順の標準化などを通じ、算定業務の定着と継続的な改善を進めるという。
一般社団法人電子情報技術産業協会(以下、JEITA)が事務局を務める「Green x Digital コンソーシアム」のCO2可視化ワーキンググループが策定した「CO2可視化フレームワーク」に準拠している。
料金は、初期アセスメントが20〜50万円(税別)で、PoCと本格導入が個別見積もりとなっている。
NECは、自社グループ内でのCFP算定実証を通じて得たノウハウを活用し、NEC CFP Managementを開発した。
今後、NECは、サプライヤーからのデータ収集支援、既存の基幹システムとのデータ連携、設計・調達・製造など関連部署を横断した社内協力体制の構築支援、第三者検証への対応、CFP削減施策を検討するためのシミュレーション支援などの機能拡大を検討する。
NECによれば、製造業では、製品単位のCFP算定が、国際的な規制や調達要件として明文化されつつあり、その対応が急務となっている。しかし、多くの企業は、複雑な制度や要件の理解、社内外に分散するデータの管理、さらにはBOMや製造プロセス、算定業務の設計やシステム整合に課題を抱えており、着手に至っていない。
注1:製品カーボンフットプリント(CFP):製品やサービスのライフサイクル全体における各段階(原料調達、生産、流通、使用、廃棄、リサイクル)で排出される温室効果ガスの総量を、CO2排出量に換算したもの。
注2:BOM(Bill of Materials、部品表):製品を構成する部品や原材料をまとめた一覧。CFPを算定する上では、各製品の環境負荷を示す基礎的なデータとなる。