IIoTシステムはどのように動作するか:具体的なプロトコル構成例
IIoTは、IoTを産業分野(Industry)に適用するというコンセプトであるところから、Industrial IoT(インダストリアルIoT)と呼ばれる。
次に、図1に示すIIoTシステム(=IoTシステム)の基本的な構成例を見てみよう。
図1 IIoTシステム(IoTシステム)のプロトコル構成例
出所 各種資料をもとに編集部が作成
図1は、1〜6の6階層からなるIoTシステム構成例を示している。
まず、アプリケーションを動作させる面から見ると、最下位に位置する6の各種デバイスに搭載されているIoTアプリケーションと、最上位に位置する1のクラウド側のサーバに搭載されているIoTアプリケーションを連携させて、両者がうまく動作できるようにするのが、2のIoTプラットフォームであり、ミドルウェアとも呼ばれるところである。
また、このIoTプラットフォームでは、IoTデバイスなどから収集されたビッグデータをAI(人工知能)などを活用して解析し、高度な判断やデータ処理も行われる。
一方、IoTシステムを通信の面から見ると、次のような2種類が想定される。
(1)IP(インターネットプロトコル)を搭載していない5IoTセンサーネットワークに接続された非IPセンサーなどのIoTデバイスは、4IoTゲートウェイ(相互接続のためのプロトコル変換装置)でIPプロトコルに変換されて、3IoTコアネットワーク(インターネット)に接続される。
(2)IPを搭載した通信モジュールなどを内蔵している高機能なIoTデバイス(例:スマートフォン)は、4IoTゲートウェイを経由しないで、(LTEなどを使用して)直接3IoTコアネットワークに接続される。
IIoTの具体例とグローバルスタンダードの展望
このようなIIoTの具体例を、表1に示す。
表1 IIoTの具体例とその特徴
出所 各種資料をもとに編集部が作成
これらのうち、ドイツのプラットフォームIndustrie 4.0と米国のIICは、システムを構築するうえで重要な、図2に示す「参照アーキテクチャ(Industrie 4.0 のRAMI4.0 とIICのIIRA)」注11に類似性があるため、両者は緊密に連携し、グローバルスタンダードの策定に向けて合意した(2016年3月注12)。
図2 IIoTにおける各リファレンス(参照)アーキテクチャ/モデルの例
出所 各種資料をもとに編集部が作成
また、日本政府は2016年4月12日、「未来投資に向けた官民対話」注13において、先行するドイツと連携して、次世代スマート工場に必要な機器の国際標準化を目指す方針を示した。
▼ 注11
参照アーキテクチャとは、開発するシステムの「ひな形」を作って、実際に各種のソフトウェアやハードウェアを組み込み(実装して)、商用システムを開発する人に提供される簡易的な実装モデルのことである。
▼ 注12
http://www.iiconsortium.org/press-room/03-02-16.htm
▼ 注13
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201604/12kanmintaiwa.html