DERと分散型電源、DRの関係
〔1〕分散型電源(DG)
まず、分散型電源(DG:Distributed Generator)から始めよう。
DGはあくまでも「電源」なので、従来の大規模集中型発電所と比較すると、小規模な発電設備(電源)であり、今後主流となる再生可能エネルギー(以下、再エネ)を用いた電源(太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電等)の他に、コージェネ注1〔海外では、CHP(Combined Heat&Power)と呼ばれる〕や、オンサイト発電機(需要家側に設置された発電機)、非常用発電機や燃料電池が対象である。
〔2〕分散型エネルギー資源(DER)
一方、DER(分散型エネルギー資源)は、先に述べた分散型電源(DG)よりも範囲が広く、蓄電池(定置型蓄電池や、今後EVの車載バッテリーも対象となる)の他に、DR注2アグリゲーター注3が提供するDR資源もDERに含まれる。
なお、DR資源には、負荷調整(需要家側の電力消費の調整)の他に、系統接続端の電力計の内側(いわゆるBehind The Meter:BTM)に設置された、ビル/家庭用蓄電池や太陽光パネル等の出力を、アグリゲーターが遠隔制御して提供する設備も含まれる。
更にいうと、系統接続されたマイクログリッドから系統側に提供される電力(いわゆる逆潮流注4)も、大規模なアグリゲーターから見れば、DERの一種と考えることができる。
▼ 注1
コージェネ:コージェネレーション(Cogeneration)を短縮した呼称。「熱電併給システム」(熱と電気の両方を利用できる効率的なシステム)とも呼ばれる。天然ガスや石油、LPガス等を燃料として使用し、エンジンやタービン、燃料電池等の方式によって発電した電気を利用し、同時に、その際に生じる廃熱も回収し利用するシステムのこと。この回収した廃熱は、工場における熱源や、家庭やオフィス等の生活の場における冷暖房、給湯設備などに利用できる。
▼ 注2
デマンドレスポンス(DR:Demand Response)、電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要家側の電力消費を制御すること。日本語では「電力の需要側応答」といわれる。
▼ 注3
アグリゲーター:Aggregator、集める人。集める事業者という意味。DR資源を束ねる事業者をDRアグリゲーター、DR資源だけではなく、各種DERを束ねる事業者をリソースアグリゲーター(RA:Resource Aggregator)と呼ぶ。このリソースアグリゲーターが制御した電力を束ねて、一般送配電事業者(系統運用者)や小売電気事業者、再エネ発電事業者等と直接電力取引を行う事業者は、アグリゲーションコーディネーター(AC:Aggregation Coordinator)と呼ばれる。
▼ 注4
逆潮流:Reverse Power Flow。従来の電力は、電力系統システムから一般家庭や工場などに一方的に供給されていた。この電気の流れを「潮流」(Power Flow)」というが、これに対して、一般家庭や工場などから電力系統システムへ供給する電力の流れを「逆潮流」という。すなわち電気の流れが、双方向になる電力システム改革の時代を迎えている。