SGIPの3つのメンバーグループ(委員会)
SGIPは組織内でさまざまな役割をもっているが、具体的な相互運用性を実現する取り組みは、表1に示すような3つのメンバーグループ(委員会)が中心となって行われている注3。
表1 SGIPの3つのメンバーグループ(委員会)の活動内容
出所 などをもとに筆者作成
SGIPにおけるPAP/プロジェクトの最新動向
SGIPのさまざまな活動の中でも、表1でも紹介したPAP(Priority Action Plans、優先行動計画)についての取り組みは特に活発な活動の1つである(表2参照)。
表2 SGIPで取り組まれているPAPの一覧およびプロジェクト(注:PAP00〜PAP16および欠番はすでに終了したPAP)
出所 Committees - Member Groups - SGIPなどをもとに筆者作成
NISTやSGIPによるスマートグリッド関連の標準規格の策定は、PAPが中心となって行われてきた。PAPとは「優先行動計画」とも訳される取り組みで、特定のテーマについて立ち上げられるワーキンググループのようなものである。SGIPの中心的な活動であり、相互運用性に関する調整が必要だと考えられる場合に立ち上げられ、その調整のための議論が行われる。
この場合の調整というのは、既存の標準規格をスマートグリッド向けに使用する場合に、スマートグリッド特有の要件などが抜け落ちている場合、そのギャップを埋めるための調整のことを指す。また、複数の標準規格に重複する部分がある場合についても、同じようにPAPを活用した調整が行われる。
PAPのメンバーとなるのは、調整が必要な標準規格を策定した標準化団体(SDO:Standards Development Organization)が中心となる。彼らが議論をし、調整を行ったうえで完成した標準規格は審査を経て、最終的にはCoS(Catalog of Standards、標準規格一覧注4)に追加されることになる。
なお、米国で開催される電力業界関連の最大級のイベントとして知られている「DistribuTECH2016」では、今年(2016年)、米国フロリダ州オーランドにおいて、2016年2月9日〜11日の3日間開催され、Duke Energy(デューク・エナジー)をはじめとした22社によるOpenFMBのデモンストレーションなどが、大きな注目を集めた。
Profile
新井 宏征(あらい ひろゆき)
株式会社スタイリッシュ・アイディア 代表取締役社長。SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、現在はプロダクトマネジメントやシナリオプランニングの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。東京外国語大学大学院修了、Said Business School Oxford Scenarios Programme 修了。主な著書に『スマートハウス/コネクテッドホームビジネスの最新動向2015』『グーグルのグリーン戦略』(インプレス)など。
▼ 注3
SGIPの会員以外は、現在のSGIPのWebサイトだけでは十分な情報が得られないため、SGIP 1.0時代のサイトも参照している。
▼ 注4
CoS:Catalog of Standards、標準規格一覧。スマートグリッドの導入を行う際に参考となる標準規格やガイドラインなどを集めたカタログ。SGIPがこのカタログを公開する目的は、スマートグリッドの導入を行う関係者が、実導入を行う際、現在利用できる標準規格や技術を参照し、それに基づいた導入を行うことで、相互運用性を担保できるように支援することである。http://www.sgip.org/catalog-of-standards/にて公開。