日立システムズパワーサービスは、ゴミ焼却炉の運転データにセンサーデータを合わせて分析することで、稼働率を上げる試みに取り組んでいることを発表した。
日立システムズパワーサービスは2016年12月15日、ゴミ焼却炉の運転データにセンサーデータを合わせて分析することで、稼働率を上げる試みに取り組んでいることを発表した。東京電力グループの東京臨海リサイクルパワーが保有する焼却炉を対象に、システムの構築などを進めている。
図 東京臨海リサイクルパワーの施設のイメージ図
出所 東京臨海リサイクルパワー
東京臨海リサイクルパワーは、産業廃棄物と医療廃棄物を燃焼させて発電している業者。ゴミを焼却する際に発生する熱で水蒸気を作り、その水蒸気でタービンを回すことで発電している。点検、メンテナンスのために施設を停止させる「計画停止」の回数を減らし、期間を短縮することと、燃焼効率を上げることが課題となっていた。
日立システムズパワーサービスは、この課題に対して2段階の計画で取り組んでいる。1段階目は、産業廃棄物の燃焼炉にひずみセンサーや温度センサーを取り付け、運転データとセンサーデータを合わせて統計解析を試みた。その結果、部品交換時期の指標の1つである「損傷量予測」のデータを得ることができた。このデータを参照することで、部品交換時期を延長させて、計画停止を延期できる可能性がある。
12月から始まった2段階目では、医療廃棄物の燃焼炉にひずみセンサーや温度センサーを取り付けた。1段階目と同様に運転データとセンサーデータを合わせて統計解析を実施するとともにディープラーニングで燃焼効率向上につながるデータを得ようと試みている。従来は担当者の経験に基づく判断で燃焼炉を運転していたが、予測データに基づいたスケジュールで燃焼炉を運転させることで燃焼効率が上がり、受け入れ可能なゴミの量が増えることを期待しているという。
日立システムズパワーサービスは、今回の試みで得た知見を生かして、エネルギー業界向けに「PoC(Proof of Concept:概念実証)サービス」の提供を始める予定。2017年度からサービスを提供するために準備を進めている。このサービスでは顧客の抱える課題や要望を聞き出して、解決に必要なデータを集めて分析して、業務改善につなげるものだ。
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日立システムズパワーサービス
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