2016年9月20日、経済産業省(以下:経産省)は、電力システム改革の貫徹のための政策を総合的かつ一体的に検討する場として、新たな有識者会議である「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を設置し、検討を行うことを公表した。
◆設置の趣旨:
政府は、電力やガス、あるいは供給区域といった市場の垣根を越えた競争が可能となるエネルギー市場を形成すべく、電気事業法等の抜本改正を2013年から3段階にわたって実行してきている。これらに基づき、2015年には広域的運営推進機関を設立、2016年には電気の小売の全面自由化を開始、そして2020年には送配電部門の法的分離を行うこととしている。中でも、2016年4月から小売全面自由化が開始する中で、既存の電力会社同士の競争や多様な産業からの新規参入の拡大など、一定の効果が見え始めている。
他方で、更なる競争活性化の視点から、「新規参入者が既存電力会社の保有するベースロード電源へのアクセスが容易になるよう、いかに卸電力市場の厚みを増していくべきか」といった課題や、「自由化の下でも、事業者が安全向上や連携して防災に取り組むことを促し、廃炉への備えや事故収束への備えを確保し、CO2削減に向けた発電投資を促し、さらには再エネ拡大に不可欠な火力発電調整能力や送電投資を効果的に確保する方策などをどう具体化するか」といった自由化の下での公益的課題への対応に関する課題が浮き彫りになってきている。
競争加速化の方策とともに、自由化の下でも公益的課題への対応を促す仕組みを整備し、これにより電力システム改革を貫徹を目指し、経産省は、こうした問題意識に立ち、総合資源エネルギー調査会に「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を設置し、競争活性化の方策と競争の中でも公益的課題への対応を促す仕組みの具体化に向け、審議を依頼することとした。
同小委員会は、2016年9月27日に検討を開始し、年内の中間取りまとめを目指し、経産省は、提言内容を受けて必要な制度措置の実施を予定する。
■リンク
経産省