[特別レポート]

5G/ローカル5Gとの共存時代!Wi-FiはWi-Fi 6/ 6EからWi-Fi 7へ

― 日本でも新たな6GHz帯の周波数を審議開始 ―
2021/07/01
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

Wi-Fi 6(802.11ax)+6GHz帯=Wi-Fi 6E規格

 次に、6GHzを使用するWi-Fi 6の拡張規格である「Wi-Fi 6E」(E:Extended)注8を見てみよう。

〔1〕新しい周波数帯(6GHz帯)を確保

 第1に、Wi-Fi 6(802.11ax)が注目されるのは、図6に示すように、(日本は検討中)米国などで、すでに新しい周波数帯(6GHz帯)を確保した点である。

図6 米国(FCC)が新しくWi-Fi6E向けに割り当てた6GHz帯(5925~7125MHz)

図6 米国(FCC)が新しくWi-Fi6E向けに割り当てた6GHz帯(5925~7125MHz)

(出典)Wi-Fi 6E:Wi-Fi® in the 6 GHz band、January 2021(自分のメールアドレス等を記入することによってダウンロード可能になる)
FCC:Federal Communications Commission、米国連邦通信委員会
UNII:Unlicensed National Information Infrastructure、アンライセンス(免許不要)の全米情報基盤
出所 大江将史「Wi-Fi(1)“正体”をあっさりと理解する~今後に向けての再確認」、Interop Tokyo 2021、2021年6月9日

 6GHz帯を利用できるWi-Fi 6は、「Wi-Fi 6E」という新しいブランドで呼ばれ、従来の2.4GHz帯と5GHz帯に加え、6GHz帯も利用できるようになった。これによってチャネル数が大幅に増えた点が、Wi-Fi 6と違う。

 米国のFCC(米国連邦通信委員会)は、2018年にWi-Fi 6E向けに、アンライセンスドバンドとして5935〜7125MHz(=1200MHz=1.2GHz幅)の周波数帯を割り当てることを発表した注9。具体的には、図6に示す、全米情報基盤(UNII-5、UNII-6、UNII-7、UNII-8)である。

 この5935〜7125MHzは、すでに英国や韓国などの多くの国で割当済み、あるいは検討中となっており、欧州委員会(EC)においてもEC各国は、2021年12月1日までに制度整備を完了する予定となっている注10

〔2〕6GHz帯はレガシー端末での利用を禁止

 第2にWi-Fi 6(802.11ax)が注目されるのは、新たに確保された6GHz帯のチャネルは、昔のレガシーデバイス(11a/bや11nなどの端末)では使用できない(禁止)ということが、明確に定められている点にある。つまり、Wi-Fi 6Eおよび今後登場する次世代のWi-Fi 7(802.11be)注11で使用される周波数帯として、6GHz帯のチャネルが新たに確保されたのである。

「これまで、Wi-Fiは、“11bをケアする11g”“11gをケアする11n”“11nをケアする11ac”というように、過去の規格との相互接続性を重視して、後方互換性を維持してきた。しかし、新しく確保された6GHz帯ではチャネル数が大幅に増えたが、そのチャネルについて、レガシーな端末では使わせないようにしていることが大きなポイントである」と大江氏は強調した。

 今後予定されているWi-Fi 7でも、きちんと本来の実効性能を出せる環境が整備される形になってきた。

Wi-Fi 6の登場と現実の性能

 現在、Wi-Fi 6に対応したアクセスポイント(AP)などの製品が続々と発表されているが、Wi-Fi 6の実効速度を評価すると、最近、「カスタムシリコン」と「マーチャントシリコン」の性能の差が小さくなってきており、以前のような無線LAN製品(APなど)を、価格で選ぶ時代ではなくなってきた。

 カスタムシリコン(特定の目的のために専用に作られた半導体チップ)を使用しているAPの場合、以前は、他社に比べて圧倒的に優れた性能をもっていても高額であった。しかし、現在では一般向けに販売され誰もが購入できる半導体チップ「マーチャントシリコン」で作成されたAPとの性能差は小さくなっている。

「このような傾向を見ると、Wi−Fi 6や次世代のWi-Fi 7のAPの場合も、カスタムシリコンだからといって、必ずしもマーチャントシリコンと比べて性能が優れているという時代ではなくなってきた」と大江氏は語る。

今後の展望:新しい市場を拓くWi-Fi 6Eへの期待

 ここでは、無線LAN規格の歴史的な整理とWi-Fiとの違い、5GとWi-Fiの違いなどを見ながら、最近標準化された、Wi-Fi 6/6Eの特徴を見てきた。特に、新しい6GHz帯の周波数が割り当てられたWi-Fi 6Eの登場は、Wi-Fi史上、画期的な出来事だといえる。

 新たに確保された6GHz帯をWi-Fi 6以前のレガシーな端末は使用できない「後方互換性を禁止」した点も、歴史的な事件だ。

「Wi-Fiにとって、これが新しい出発となり、今後さらに用途を拡大し、新しい市場を拓いていくことに期待したい」と、大江氏は締めくくった。


▼ 注8
Wi-Fi 6Eは、Wi-Fiアライアンスが2020年1月に発表した新しいWi-Fi規格。周波数は2.4GHz帯・5GHz帯(Wi-Fi 6)に6GHz帯を加えて、3つの帯域を使用できるようにしたWi-Fi 6の拡張規格。

▼ 注9
6GHz帯では、20MHz幅で59チャネル、40MHz幅で29チャネル、80MHz幅で14チャネル、160MHz幅で7チャネルの通信チャネルが追加されることになった。4ページ参照。

▼ 注10
ARIB 無線LANシステム開発部会「6GHz帯無線LANの動向・要望」、2021年4月27日

▼ 注11
https://www.ieee802.org/11/Reports/802.11_Timelines.htm#tgbe

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