全国的に電力会社のスマートメーターの設置が進んでいる。東京電力パワーグリッドでは、2021年3月末時点で、エリア内すべての世帯・事業所に約2,840万台の設置が完了(一部作業困難箇所は除く)した。これを背景に、スマートメーター・データを利用するビジネスが本格的に動き出した。
電力データを活用した社会課題解決などを目指して設立されたグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合(以下、GDB)注1と、博報堂DYホールディングス傘下のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC、1996年12月設立)は、2021年8月31日、GDBのスマートメーター統計データとDACの「AudienceOne」(オーディエンスワン)プラットフォーム注2との連携を開始した(図)。
図 グリッドデータバンクラボとAudienceOne(DAC)の連携
「AudienceOne」プラットフォームの「Data Exchange」サービス注3を通じて、エリア単位で加工したスマートメーター統計データを活用することで、エリア特性に基づいた効果的なエリアターゲティング広告(特定地域の広告)を配信でき、マーケティング活動が可能になった。
エリアターゲティング広告の実施には、エリア毎の5年に一度行われる国勢調査などの公開情報を用いることが一般的だ。
しかし、GDBが提供するデータの情報源は、現在、導入が推進しているスマートメーターの30分毎に収集された電力使用量実績データであるため、「情報の鮮度と精度」の両方の課題が解決できる。今後は、東京23区から順次、広告配信を行っていく。
注1 東京電力パワーグリッドや中部電力、関西電力送配電、NTTデータが出資し2018年11月15日に設立。128企業・団体が参加(2021年9月現在)。
注2 AudienceOne(オーディエンスワン):1億を超えるデバイスのIDなど膨大なデータを保有し、データ解析して高精度なサードパーティデータを生成/提供するDACのデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP:Data Management Platform)。
注3 「Data Exchange」サービス:データ提供企業が保有するデータを「個人が特定できないセグメント」に加工し、各広告配信プラットフォームへ連携するサービス。