東京電力(以下、東電)は、すでに2014年度に約150万台のスマートメーターを設置し、2015年度末までに約320万台、2016年度末までに累計約1,000万台を目標にその導入が進められている。東京・多摩支店サービスエリア注1では、2015年2月から、スマートメーター導入済みの約14万件の顧客(家庭)に、スマートメーターを活用したサービスを一部先行して開始してきたが、2015年7月から、導入した全エリアでサービスを開始する。同サービスは、多摩支店サービスエリアと同じく以下の通りである。
- 顧客の利便性向上:引越時に電力量(検針値)を遠隔で取得し、顧客の立ち会いなどの負担を軽減
- 停電復旧の迅速化:停電時に遠隔から通電状況を確認することで、復旧までの時間を短縮
これらは、従来型の電力計の機能を自動化したサービスであるが、今後、スマートメーターに期待されている「30分ごとの電力量の計測」「電力の遠隔からの開閉機能」「HEMSなどの宅内機器への電力量通知」をはじめ、多様なサービスの提供が検討されており、順次具体化されていく予定となっている。
また、東電のスマートメーターシステムは、スマートメーター用通信システム(東芝)、スマートメーター運用管理システム(NTTデータ)、スマートメーター(大崎電気工業、GE富士電機メーター、東光東芝メーターシステムズ、三菱電機)などによって構築されているが、2015年5月11日、日本オラクルは、スマートメーターから取得するデータを高速処理するIT基盤として、データベース・マシン「Oracle Exadata Database Machine」(Oracle Exadata)を東電に導入し、稼働を開始したと発表した。このような最先端のIT技術を活用することで、東電は、スマートメーター運用管理システムの導入・運用コストの低減、さらに顧客の使用形態に応じた多様な料金メニューの設定や、きめ細かな省エネ支援などを実現し、顧客の電気料金の負担軽減や暮らしに役立つ多様なサービスを提供することなどが期待されている。
注1 東京23区および島嶼部を除く地域。また、山梨県北都留郡の一部地域を含む。島嶼(とうしょ)とは大小さまざまな島のこと。http://www.tepco.co.jp/cc/press/2015/1247921_6818.html