「前提を超えろ」をテーマにしたInteropの「ShowNet」
Interop Tokyo 2022会場に構築された「ShowNet」は、毎回、来場者から注目と期待を集めている先進的なネットワークである。
2022年のShowNetは、DXの荒波を突破するため、「前提を超えろ」をテーマに、出展社から提供された1,500台以上の製品やサービスと、400名にのぼるトップエンジニアが千葉県・幕張メッセに集結して構築された注3。
ShowNetブースの「ローカル5G」による4K動画伝送のデモ
図2は、Interop会場において、ローカル5Gに割り当てられた周波数4.6〜4.7GHz帯(Sub-6)を用いて、4Kカメラで撮影したリアルタイム映像を送受信する構成図で、写真1はそのデモの様子である。
写真1 Interop Tokyo 2022における「ローカル5G」による4K動画伝送のデモの様子
[参考資料]SHOWNET over the Premise「ShowNetの歩き方」の11ページ、「#N-11:ローカル5G、#12ローカル5G PTP」
出所 編集部撮影
図2 Interop Tokyo 2022 ShowNetブースでのローカル5Gによる4K動画伝送のデモ
❶ 写真1の右側の三脚に設置した4Kビデオカメラで撮影された、会場のリアルタイム4K映像(写真1の中央右側のディスプレイ)を、エンコーダ(符号化器)を経由してシールドボックスへ送る。
❷ RF(高周波無線)を介して、ローカル5G Sub-6一体型基地局「UNIVERGE RV1200」(NEC製。写真1中央の白いボックス)と接続。
❸ 3GPP標準インタフェースN3を介してローカル5G用UPF(User Plane Function、ユーザーデータ処理装置)と接続。
❹ ❸のUPFから3GPP標準インタフェースN6経由でShowNet網と接続し、4Kデコーダ(復号器)にデータを送信。同デコーダで、ローカル5G経由の4K映像を復号し、4Kディスプレイに表示する(写真1の右側のディスプレイ)。
シールドボックス:電波暗箱。外部からの電波の影響をなくすために、外部電波を遮蔽に特化した箱
オムニアンテナ:Omni Antenna。無指向性アンテナともいわれる。360°の全方向の電波を送信したり受信できるアンテナ
RF:Radio Frequency、無線周波数
N3、N6:3GPP標準の各種インタフェース
出所 編集部撮影
写真1の左右には、実際に使用された各社のローカル5G関連の機器を格納したラックが配置されている。
このデモでは、送信側から送った4K映像は、エンコーダとデコーダにおける処理の遅延時間は両方で20ミリ秒程度、基地局の無線部(RU:Resource Unit)で15〜20ミリ秒。その他ルータやスイッチの遅延時間を含めると、全体で65〜70ミリ秒の遅延であり、ほぼリアルタイムに4K映像を送受信できた。
また、準同期方式(表2を参照)によってアップリンク(上り)の伝送時間を2倍速くしたデモ内容であった(従来の64Mbpsの2倍の128Mbpsで送信)。