[標準化動向]

IPv6の標準化動向(1):IPv6の標準化状況と第67回IETFミーティング

2006/12/26
(火)
SmartGridニューズレター編集部

shim6 (Site Multihoming by IPv6 Intermediation) WG の動向

sihm6 WGは、IPv6のマルチホーム問題の解法として、IPv4で主に実施されているBGPを用いたルーティングによるマルチホームではなく、エンドホストがそれぞれの間でインタラクションを実施することによりマルチホームを実現するプロトコルを策定するWGである。今回は、基本スペックのWGLCと実装状況の紹介が主であった。

shimプロトコルの基本スペックは、

(1) Level 3 multi-homing shim protocol shim
プロトコル自体の記述

(2) Hash Based Addresses (HBA)
ハッシュを用いてアドレス情報を安全に交換するHBA方式について記述

(3) Failure Detection and Locator Pair Exploration Protocol for IPv6 multi-homing
通信障害検出とアドレスペア選択の方式を記述

の3文書で構成されている。これらの文書について議論が実施されたが、文書のレビューが不十分であったため、ミーティングではWGLCには至らず、メーリングリストで継続審議ということになった。

また、基本スペック以外のいくつかの拡張提案について更新状況が紹介されたあとで、ソウル大学とETRI(韓国電子通信研究院)が共同で進めている実装の進捗状況について報告があった。IETFでは他の標準化組織に比べ、特に実装が重視される。shimプロトコルの実装としては、これ以外にもいくつか同時に実装されているようであるが、まだ基本スペックの実装を完了しているものは無い。

この状況を含め、shim6 WGの今後の方向性として、基本スペックをIESGに提出した後は、実装が完了するのを待ち、完了後に実装から得られた知見等も含めて基本スペックや拡張モジュールの検討を行ってはどうか、という提案がチェアからなされた。

次回IETFでは、shim6 WGのミーティングは開催されない予定である。一時は多くの注目を集めていたshim6 WGであるが、トラフィックエンジニアリングに対するオペレーターからの要求に応えられていないこと、IPv6でもPIアドレスが利用可能になったことから、興味関心が薄れてしまったように思われる。

関連リンク

第67回IETFミーティングの各種情報は、以下のURLより参照可能。
■全体プログラム
https://datatracker.ietf.org/public/meeting_agenda_html.cgi?meeting_num=67
■WGアジェンダ、発表資料
https://datatracker.ietf.org/public/meeting_materials.cgi?meeting_num=67

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