[標準化動向]

IPv6の標準化動向(1):IPv6の標準化状況と第67回IETFミーティング

2006/12/26
(火)
SmartGridニューズレター編集部

IETF 67 におけるIPv6関連WGの動向

IETF 67概要

図4 IETF参加者の国別割合

図4 IETF参加者の国別割合

第67回IETFは、2006年11月5日(日)から11月10日(金)まで、アメリカ、カリフォルニア州のサンディエゴにて開催された。

IETF自体の参加人数であるが、下図3に示すように、ここ数回は1,200人程度の人数で推移している。IETF参加者の国別割合を右図4に示す。国ごとの比率は、ここ数回ほぼ同様で、USの参加者が大多数を占め、日本、韓国、ドイツがそれに続いている。


図3 IETFへの参加人数の推移

図3 IETFへの参加人数の推移(クリックで拡大)

v6ops (IPv6 Operations) WGの動向

v6ops WGは、IPv6/IPv4の共存時における運用や、セキュリティに関する話題を主に扱うWGである。今回は、毎回実施されるWGドキュメントについての議論の他に、NAT-PTの後継プロトコルについての提案、IPv6ネットワークのリナンバリングに関する議論、および、複数アドレス選択に関する議論が実施された。

RFC2766で定義されているNAT-PT(参考:IPv6移行メカニズム概論 第2回 )は、IPv6/IPv4の相互プロトコル変換を実施する仕組みである。NAT-PTは、運用やセキュリティに多くの問題が指摘されており(draft-ietf-v6ops-natpt-to-exprmntl に詳述されている)、この仕様は Proposed Standard から Historic のステータスに変更されることになっている(当初、Experimentalステータスへの移行が予定されていたが、図2 IETFにおける標準化のプロセス に示したように、IETF文書のステータスは、Proposed Standard からはExperimental への移行ができないため、Historicにする方向に変更された)。

しかしながら、IMSネットワークでのアドレス変換の必要性があるとの意見があり、同機能を持ったプロトコルについて、再度提案/議論が実施されることになった。

WGドキュメントの議論では、

(1) 802.16ネットワーク(WiMAX等)におけるIPv6デプロイメントシナリオ
draft-ietf-v6ops-802-16-deployment-scenarios

(2) IPsecを用いた、IPv6トンネルのセキュア化
draft-ietf-v6ops-ipsec-tunnels

(3) IPv6ユニキャストアドレス割り当て
draft-ietf-v6ops-addcon

(4) キャンパスネットワークにおけるIPv6移行シナリオ
draft-ietf-v6ops-campus-transition

(5) IPv6におけるポートスキャン
draft-ietf-v6ops-scanning-implications

の各文書のレビューがあり、それぞれ、関連WGへの意見照会後にRFC化に向けたラストコール(WGLC:ワーキンググループラストコール)が実施されることになった。これらWG文書の議論後、IPv6ネットワークのリナンバリングに関する議論、および、IPv6の複数アドレス選択に関する議論が実施された。

v6opsへの提案文書に関する議論の後、オープンな議論として、IPv6のマルチホーミングについての議論が実施された。マルチホーミングは、IPv6の課題の一つであり、過去から議論が続いている。

最近、「JPNIC通信 第3回 IPv6におけるマルチホームの実現に向けて 」にも紹介されているように、IPv6においてもIPv4と同様にプロバイダ非依存アドレスを配布しよう、という動きが現実のものとなり、実際にARINでは配布が開始され、APNICでも配布される予定となっている。

これらの動きは、マルチホーム問題に一定の解を与える一方で、IPv6の経路情報の増大を招くことが懸念されている。IPv4/IPv6の経路情報増大に関する問題については、IETFの全体会議(毎回、木曜日夕刻に開催されるプレナリセッション)においても提起されており、今後、解決に向けての議論が加速されると思われる。

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