WG構成決まる、日本人リーダーは2名選出
200名を越える規模のFGにおいて、これから技術的な議論を展開していくために、WGの構成が決定された。FG IPTVの発足に先立ち、2006年4月に開催された、TSB(Telecommunication Standardization Bureau、電気通信標準化局)主催の非公式会議では、
(1) アーキテクチャ・要求条件
(2) QoS(サービス品質)
(3) セキュリティ
(4) ネットワーク
(5) 端末
(6) アプリケーション
という6つのトピックが抽出されたが、FG IPTVのWGも、このトピックに沿ってそれぞれ設けられた(表1)。また、提案文書の数や参加者数を考慮して、各WGのリーダーの人選も行われた。表1に示すように、ほとんどのWGのリーダに中国、韓国からの参加者が選ばれている。
技術的な議論はすべてWGで行われるため、今後の技術議論に両国の意向が何らかの形で強く反映される可能性は高いと言えよう。
IPTVの定義:「放送か否か」が焦点
冒頭で述べたように、「IPTV」という言葉は、現在のところ非常に幅広い概念を含むものである。そこでFG IPTVでカバーするIPTVの概念を定義付けするために、アドホック(臨時)・ミーティングが開催され、数十人が参加した。
IPTVは、「管理された(QoSの確保された)IP網を使用し、不特定多数を対象としたテレビのようなマルチメディア・サービス」という点では合意が得られたものの、IPTVが、いわゆる「放送か否か」という点では、まったく意見が分かれた。
とくに中国、韓国からは、IPTVの定義に「放送を連想させる言葉を入れないでほしい」という強い要望があった。IPTVが「電気通信設備を使った放送」ということになると、法制面から規制の対象となってしまい、自由なサービスの提供が阻害されてしまうことになるからである。
日本では、アメリカと同様、電気通信役務利用放送法(2002年1月から施行)によって、電気通信設備による放送は制度的に可能である。中国、韓国とは逆にIPTVが「放送」となることによりコンテンツを揃えられやすくなるということが対照的である。
結局、結論は次回に持ち越しとなったものの、「IP網を使った不特定多数を対象としたテレビのようなマルチメディア・サービス」という暫定的な合意における「IP網」についての具体的なイメージについては、管理されたIPネットワークであるという点では合意できたものの、それがNGNなのか、それともNGNとは別の管理されたIP網なのかについては、はっきりとした結論は出なかった。