NTT案をベースに機能ブロックとインタフェースを検討
WG5では端末と相互接続性について検討しているが、今回は受信機そのものと、ホーム・ネットワークでのIPTV運用に関する議論が行われた。ただし、議論の中心は主に高いレベル(抽象度が高い)のものが中心で、例えば、端末に関してセット・トップ・ボックス(STB)とテレビ内蔵端末などのクラス分けなどが行われ、具体的なハードウェアに関する提案は少なかった。
その中での焦点はまず、機能ブロックとインタフェースについてであった。これはNTT案をベースに、修正などが加えられた。結果は図1、図2の通り。
図1の機能ブロックには、ホーム・ネットワークでの利用を想定し、「ホーム・ネットワーク・インタフェース」を追加した。これに伴いDRM(Digital Rights Management、著作権管理)を追記。「アプリケーション」とは、BMLブラウザやEPG(Electric Program Guide、番組表のメタデータ)などをまとめて表記したものである。
なお、ここで言うホーム・ネットワークとは、STBで受信した映像データを、デコード(復号)処理してディスプレイに映し出すだけでなく、例えば外部の蓄積デバイスにつながったり、隣の部屋のディスプレイにつながる場合を想定したものである。単なるアクセス網の延長としてのホーム・ネットワークとは意味が異なる点に注意が必要だ。そのため、コピー・コントロール(コピー保護)に関連した技術をどう組み込んで行くかなどが今後しっかりと議論される必要がある。
図2のインタフェース定義は、中央にIPTVの端末(現在のところSTBと、テレビ/STB一体型のものを想定)を置いて、そこにどんなネットワークやデバイスがつながるのかを示している。
図2の左側には、放送網とIPTV網がある。まず、この放送網とは、地上デジタル放送や衛星放送のこと(非IP網)。韓国から、1台のSTBで通常の放送番組とIPTVの両方を見られるようにするべきとの提案があり、インタフェースにオプションとして付け加えることで合意された。
IPTV網というのは、暫定的な呼称で、この管理されたIP網がNGNか否かについては結論は出ていない。このほかの各種デバイスとIPTV端末との接続方式に関しては、ほぼ異論のない既存の技術を列挙した形になった(図2下を参照)。
なお、今回決まったインタフェース定義には携帯電話のインタフェースは含まれない。当然、将来的にはモバイル型のIPTVも出てくる可能性はあるが、そちらは使う技術が現在のSTBとテレビという形態とはかなり異なる技術になる可能性がある。今回合意された機能ブロックで対応できるか否かも含めてアーキテクチャを別途議論した方が良いということになった。
ユーザー・インタフェースに関しては、今後の検討課題とされたが、現在のところオプションとしてキーボードとリモコンは追加されている。リモコンについては、ユーザから見た操作性や、STBのソフトウェア、ハードウェアの機能にも関連するため、未解決の検討課題を記述している「Living List」に載せて引き続き議論することになっている。