2021年10月22日、「第6次エネルギー基本計画」が閣議決定された。同基本計画では2つの重要テーマを掲げている。1つは、①2020年10月に表明した「2050年カーボンニュートラル」、②2030年度の温室効果ガス46%削減、③さらに2021年4月に表明された新たな削減目標(50%の高みを目指す)の実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すこと。もう1つは、日本のエネルギー需給構造が抱える課題を克服することである。安全性の確保を大前提に、気候変動対策を進める中でも、安定供給の確保やエネルギーコストの低減(S+3E)(注1)に向けた取り組みを進める。
ここでは、2030年度における「エネルギー需給の見通し」(表1)と「温室効果ガス別その他の区分ごとの削減目標」(表2)を紹介する。具体的な削減目標・対象を理解することで、自社で取り組むべき対応策の参考にしていただきたい。
表1 2030年度におけるエネルギー需給の見通し
※ 現在取り組んでいる再エネの研究開発の成果の活用・実装が進んだ場合には、38%以上の高みを目指す。
出所 資源エネルギー庁、エネルギー基本計画の概要〔令和3(2021)年10月〕をもとに編集部で作成
表2 温室効果ガス別その他の区分ごとの目標・目安
※1 エネルギー起源CO2の各部門は目安の値。
※2 温室効果ガス総排出量から温室効果ガス吸収源による吸収量を差し引いたもの。
※3 さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく。
※4 電気熱配分統計誤差を除く。そのため、各部門の実績の合計とエネルギー起源CO2の排出量は一致しない。
※5 HFCs、PFCs、SF6、NF3の4種類の温室効果ガスについては暦年値。
JCM:Joint Crediting Mechanism
出所 環境省、地球温暖化対策計画(令和3年10月22日、閣議決定)より
▼ 注1
S+3E:安全性(Safety)、エネルギーの安定供給(Energy Security)、最小の経済負担(Economic Efficiency)、エネルギー供給に伴って発生する環境負荷(Environment)の可能な限りの抑制、というエネルギー政策の基本的視点を表す。
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