[標準化動向]

IPTVの標準化動向(2):IPTVの定義決まる

2006/12/18
(月)
SmartGridニューズレター編集部

その他の議論

プロトコルについては、IPv4とIPv6のどちらを必須にするのか、両方必須にするのかなども決まっていない。現在は、IPv4とIPv6についてRFCを引用して20〜30個のプロトコルのリストが提出されている段階で、それらをどう組み合わせて、どう使っていくかということは今後の大きな問題になってくると思われる。IPv6の必要性については、日本はかなり前向きに捉えている。

映像フォーマットは、HD(ハイビジョン、1080i、720p)とSD(標準テレビ、480i、480p)など既存の放送用映像フォーマットをサポートすることで合意。コーデックに関しては、H.264/AVCとMPEG-2が記載されたが、本格的な議論は次回以降に行われる。

関係標準化組織とのリエゾン(連携)

前述の通り、IPTVはホーム・ネットワーク内での利用が想定されているため、FG IPTVでは、UPnP(Universal Plug and Play ※3)やDLNA(Digital Living Network Alliance ※4)の動きを取り込んで行くことは重要だと意見が一致した。そこで今回は特例としてFG IPTVからDLNAに対して協力関係構築と文書の提供・利用を要請するリエゾンを送付した。

(※編注:ITUの勧告文書に他団体のドキュメントを引用するためには、当該団体がITU勧告「A.5」(ITU-T勧告に他の組織の文書の参照を含めるための一般的手続き)の認定を受けている必要がある。例えば日本のARIBはA.5認定機関だが、UPnPは審査中で、DLNAは申請していない。また、ITUのSG等から他団体へリエゾンを送る際には「A.6」(ITU-Tと地域/国内標準化機関間の協力および情報交換手続き)の認定が必要。UPnPやDLNAはこの認定も得ていない。今回はDLNAとの関係構築は、IPTVの普及に関して極めて重要であり、リエゾンを送るのがSGではなく臨時的なFGということで特別に許可された。昨今スピードを増す技術発展の中にあって、こうしたことがITUの問題点として浮かび上がってきている)

一方、FG IPTVへのリエゾン文書は20数本あり、ほとんどがFG IPTVの発足を肯定的に捉え、関係構築を求めるものが中心であった。

用語解説

※3 UPnP:Universal Plug and Play
マイクロソフト社が提唱した家庭内のPCやAV機器、周辺機器をネットワークで接続するための技術規格。

※4 DLNA:Digital Living Network Alliance
ホーム・ネットワークでPCやAV、モバイル機器同士を相互接続するための仕様を策定するために設立された業界団体。家電、PC等の大手メーカーが参画している。

今後のスケジュール

次回会合(第3回)は、2007年1月22〜26日の5日間、米国カリフォルニア州マウンテンビューで行われる。米国ATISがホストする。

今回も夜中まで議論が終わらないなど、動きは活発であるが、あと3回のFG会合で期待されている成果を出せるかどうか、時間不足が懸念されている。4回目を2007年5月、5回目を同年7月に行い、原則一年というFGの活動は終わることになっているが、それまでには間に合わないという意見もある。

中間会合を行うという方法もあるが、それではあまりにも参加者の負担が増えすぎるという向きもある。ただし、国際標準化組織としてのITUは、 前述の他団体との連携強化を含め、 スピーディな標準化を行っていくことが今まさに求められており、FG終了後の継続議論の場の確保なども検討する必要があるかもしれない。

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