IMSの主要標準インタフェース
IMSの各機能要素間のインタフェースと、そこで用いられるプロトコルはどのように標準化されているのでしょうか? 図2に、機能要素間で標準化されているインタフェース参照点をCx、Shなどという記号で示しました。表2に、IMSとして標準化されている主な参照点と、そこで用いるプロトコルと用途を示します。
IMSでは、SIPやDiameter(認証・承認・課金を行うプロトコル)など、IETF(Internet Engineering Task Force)でインターネット用に規定されたプロトコルを、必要に応じて拡張して使用します。
IMS以外のネットワーク機能との連携
IMSでは、既存の回線交換の電話網である「PSTN」(Public Switched Telephone Network)や、公衆移動通信網である「PLMN」(Public Land Mobile Network)との相互接続についても、規定しています。
図3に、このためのゲートウェイ機能のアーキテクチャを示します。例えば、IMS制御下でVoIPによる電話サービスを提供し、これと電話網とがインタワーク(協調動作)する場合に適用されます。
インタワークの処理を受けもつ「BGCF」(Breakout Gateway Control Function)から、回線交換上とIP上のメディア変換を制御する「MGCF」(Media Gateway Control Function)、さらにSIPと電話網で用いるNo.7信号方式「ISUP」(ISDN User Part)との制御信号の変換を行う「SGW」(Signalling Gateway)を経由して、電話網に接続されます。
例として、IMS制御下のVoIP通話を従来の電話網へ接続する場合、図3の番号で示したような流れになります。
具体的には、(1) S-CSCFに通話接続の要求がくると、(2) BGCFへ接続要求を転送、(3) BGCFは適切なMGCFを選択してこれに接続要求を更に転送します。その後、(4) BGCFはIMS-MGWに通話パスの準備を促し、(5) SIPメッセージをISUPメッセージに変換してSGWに接続要求を転送します。さらに、(6) SGWはISUPメッセージを旧来のNo.7信号方式の信号リンク上を電話網に転送します。電話網側から接続応答を受けると、逆の方向に応答信号が送られ、(7) 通話パスが設定されます。
また、フリーフォンにおける番号変換(日本では0120番号と通常の0AB〜J番号の変換)など、電話網で提供しているインテリジェント・ネットワークのサービス処理を、IMSからも利用できるように、アプリケーション・サーバの1つとしてIM-SSF(IP Multimedia - Service Switching Function)が規定されています。
この場合、図3に示したように、(a) S-CSCFからサービス処理として番号変換の要求をIM-SSFに送ると、(b) S-CSCFはインテリジェント・ネットワークのSCP(サービス処理機能)に対して番号変換要求をINAPプロトコルに変換して送ることになります。
IMSサービスで要求されるサービスのQoS、特にIP網における品質制御に関しては、IMSで抽出したQoS要求条件をIP網および端末に伝達し、要求に応じたベアラを設定するための仕組みが、規定されています。
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さて、次回は、IMSにおいて各ユーザーを識別するアイデンティティとこれに関わる登録や認証などの手順について、詳しく取り上げることとします。
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