[特別レポート]

韓国のDMB/WiBroの最新動向(4):HSDPAとの競合激化 韓国版モバイルWiMAX「WiBro」の現状(その2)

2006/11/01
(水)
SmartGridニューズレター編集部

WiBroの契約者数、サービス利用料

【1】WiBroの契約者数

初期段階のサービスはソウル中心の制限されたサービスを実施しています。現在、サービス提供範囲の拡大を推進中で、2006年9月現在、KTのWiBro加入者数は854人、SKTの加入者数は217人となっており、予想よりも少ない状況となっています。

【2】WiBroサービスの利用料

<1>KTの場合

(1) KTは、6か月間のプロモーション期間(2006年6月30日~2006年12月31日)には完全定額制(16,000ウォン:約1,600円)と、表1に示す3種類(選択肢1~3)の一部定額制など4種類の特別料金制を適用する。

表1 プロモーション期間中の料金制度(1000ウォン=約100円)

表1 プロモーション期間中の料金制度(1000ウォン=約100円)

(2) プロモーション期間終了後は表2に示す料金制度となる。

表2 プロモーション期間終了後の料金制度

表2 プロモーション期間終了後の料金制度

<2>SKTの場合

(1) SKTは、9か月間のプロモーション期間(2006年6月30~2007年3月31日)には、完全定額制(30,000ウォン:約3,000円)でサービスを提供する。

(2) プロモーション期間終了後は、表3に示す料金制となる。

表3 プロモーション期間終了後の料金制度

表3 プロモーション期間終了後の料金制度

世界におけるWiBroの展開

現在、世界各国では、モバイル・ブロードバンドの市場を拡大するために、いろいろな方式が検討されていますが、ここでは、「WiBroをベースにしたモバイルWiMAXサービス」の導入に関する検討状況を紹介しましょう。

表4に、これまで行われてきたWiBroの試験および商用サービスの計画状況を示しますが、この中で特徴的なことをまとめると、次のようになります。

(1) WiBroのフィールド実験は、すでに米国のスプリント・ネクステルをはじめ、イギリスのBT、日本のKDDI、NTTなどが実施しています。

(2) アメリカの第3位の携帯通信事業者であるスプリント・ネクステル(SprintNextel)は、2008年1月目指してモバイルWiMAX(WiBro)網を構築し、無線データ・サービスを提供する予定です。

(3) ブラジルのTVA、ベネズエラ(Venezuela)のケーブル会社であるオムニビジョン(Omnivision)なども2006年末目指して、WiBroサービスを提供する予定です。

(4) 米国ミシガン地域事業者であるアリアリンク(Arialink)とクロアチア(Croatia)の代表的通信事業者のH1は試験サービスに続いて、2007年上半期にWiBroの商用サービスを開始する予定です。

(5) イタリアのTIM(テレコム・イタリア・モバイル)も2007年中に商用サービスを計画しています。すでに、TIMは、2006年のトリノ冬季オリンピックで実験サービスを実施しています。

以上のようなことも含めて、現在、世界の約20カ国でWiBroサービスの導入が検討されています。

表4 WiBro試験および商用サービスの計画状況
表4 WiBro試験および商用サービスの計画状況〔UAE:アラブ首長国連邦〕(クリックで拡大)

ページ

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...