PLTと放送業務との共用は不可能
ITU-Rの重要な業務のひとつとして、有限な資源である電波周波数を複数の目的で共用するための調整が継続的に行われているが、放送業務もその例外ではない。一方、SG6の立場では、外からの干渉に対して放送サービスを保護することが重要であり、必ずしも他業務、あるいはサービスとの間で利害が一致しない場合が多く、調整に時間と妥協を要することもしばしばである。
今回の会合では、数ある周波数共用に関する課題のうち、特にPLT(Power Line Transmission、電力線搬送波通信)が放送業務に与える干渉問題が大きな議論となった。
PLTに関しては、1年前のSG6会合で仮採択した放送業務との干渉に関する新勧告案が、各国投票時に米国の反対によって差し戻されたという経緯がある。今回、この課題を担当するWP6Eにおいて再度審議が行われたが、新勧告案に修正を施すことで自国内のPLTサービスを早期に認めたい米国に対して、PLTと放送業務との共用は不可能であるとのコメントが、日本や他国から出され、妥協点が見い出せず審議が行き詰った。
結論として、本件の勧告化の是非については、SG6レベルでは判断せず、2007年に開催されるRA(Radiocommunication Assembly、無線通信総会)に送り、その場で審議することとなった。
そのほか、WP6Eで作成した「無線通信規則に割り当てのない機器から放送業務への干渉に対する評価基準」や「短距離FM変調機器からの干渉に対するVHF帯放送業務の保護」に関する新勧告案についても、SG6会合で仮採択されたものの、勧告化への懸念が会合内で示されるなど、承認手続きまでには予断を許さない状況である。
WRC-07に向けた作業 = CPM文書の作成 =
WRC-07に向けた準備として、CPM(Conference Preparation Meeting、会議準備会合)が2007年2月〜3月に開催される。今回のSG6ブロック会合は、CPMへの入力文書提出締め切り前の最後の会合であったため、関連するWPにおいて、表1のような検討課題に対するCPM文書の作成作業が行われた。