2025年の崖(2025 Digital Cliff)とは
「2025年の崖」とは何か?
図1は、経済産業省が、2025年の崖(2025 Digital Cliff)とは何かをまとめた、DXレポート『〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜』の図である。
図1 人材面・技術面から見た2025年の崖(2025 Digital Cliff)
出所 DXレポート『~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)』、平成30(2018)年9月7日、デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会
図1を見ると、2015年時点で、「21年以上」も前に構築された企業の基幹システム(バックオフィス)は2割を超えており、2025年にはそれが6割に達するなど、基幹システムはますます老朽化していく実態が見てとれる。
一方、ビジネス面では、「従来のITサービス市場とデジタル市場の比」は、2017年の「9:1」から2025年には「6:4」へと、デジタル市場が大きく比重を増してくる。
現在、多くの経営者は、企業の将来の成長や競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用してビジネスモデルを創出し、柔軟に対応できる情報システムを革新するデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性については理解している。
しかし、実際には次のような課題がある(図1、2参照)。
- 事業部門ごとにシステムが構築されているため、全社横断的なデータの活用ができなかったり、過剰なカスタマイズ(企業の必要に応じた仕様変更)がなされていたりなど、既存システムが複雑かつブラックボックス化してしまっている。
- 経営者がDXを望んでも、データ活用のためには既存システム(レガシーシステム)の問題を解決する必要がある。これらが解決されないため、DXの足かせになり、情報技術(IT)に資金や人材が戦略的に投資されていない。同時に、DXを導入するには業務自体の見直しも求められるため(経営改革そのもの)、現場からの抵抗も大きく、いかにしてこれを実行するかが課題となっている。
- 企業が(1)や(2)の課題を克服できない場合、DXが実現できないだけでなく、2025年以降、日本では、最大毎年12兆円という、現在の約3倍の経済損失が生じる可能性が予測されている。
このため、日本では2025年までに、老朽化した基幹システムの刷新を集中的に推進することが強く求められている。これが「2025年の崖」問題である。