参加者数:第1位 米国、第2位 韓国、第3位 日本
提案文書数:第1位 中国、第2位 韓国、第3位 日本
FG IPTVの第3回会合は、2007年1月22〜26日、米国カリフォルニア州マウンテンビューのマイクロソフト社屋で開催された。前回に続き200名を越える参加者が集まり、IPTVに対する熱気さめやらぬ活況を呈していた。主な国別の参加者数は、米国70名、韓国36名、日本34名、中国16名、英国6名、フランス5名、カナダ5名。中国からの参加者数が前回(32名)から半減しているのは、米国の入国ビザ取得が困難であったという事情がある。ただし、提案文書の数は、中国が最多の61件、続いて韓国34件、日本27件、カナダ17件、米国11件、英国10件等となっており、中国の存在感は依然として大きい。
なお、日本からの提案文書は、これまでNTTが中心だったが、今回はKDDI、住友電気工業、NEC、TBS、ソニーも提出するなど、活動に広がりが出てきた。また、放送業界も高い関心を持っているようで、今回は民間放送事業者から2名、NHKからは1名参加していたようだ。また、リエゾン文書は、ITU内のSG以外に、HGI、DVB、IEC、ETSI、ATIS(※1〜5)などから提出され、FG IPTVの活動が確実にITU以外の団体に認識されてきたと言える。
用語解説
※1 HGI:Home Gateway Initiative、欧州の通信事業者が中心となって組織されたホーム・ゲートウェイの標準化団体
※2 DVB:Digital Video Broadcasting project、欧州のデジタル・テレビ放送規格プロジェクト
※3 IEC:International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議
※4 ETSI:European Telecommunications Standards Institute、欧州電気通信標準化機構
※5 ATIS:Alliance for Telecommunications Industry Solutions、米国の電気通信標準化のアライアンス
IPTV端末に新アーキテクチャの提案
今回の議論の中心となったのは、要求条件の精査作業である。技術的な議論を始めようにも要求条件の策定が最優先となる。ただ、再三指摘してきたように、IPTVに対する各国参加者の見方が異なるために(レガシーのIP網だけを想定したものから、NGN機能をフル活用したものまで等)、数百件もの数の要求条件が提案されている(FG IPTV-DOC-0060)そこで議論を加速するため、要求条件を担当するWG1以外のWGも加わって議論を進め、50%程度まで精査することができた。
一方、IPTV端末の議論には、日本からの提案で(1)FEC(Forward Error Correction、前方向誤り訂正)がオプションとして追加され、中国からの提案では(2)アーキテクチャとの整合化が行われた。また、韓国からの提案では(3)映像品質監視機能の追加などが、作業文書に反映された(FG IPTV-DOC-0069 )。
(1)のFECについては、IPTVの品質確保において重要な技術であるが、オープンなものからベンダの独自技術までいろいろあるため、方式の議論は別途行い、機能ブロックへ追加することが決定された。(2)のアーキテクチャの整合とは、既存のアーキテクチャ・ブロック図〔IPTVの標準化動向 (2)を参照〕を、「メディア処理(Media Processing)」と「双方向サービス(Service Interaction)」の2つの部分に区別するもの。同図は修正されたものの、中国より別途「アプリケーション」を追加する提案があり、詳細決定は次回会合に持ち越された(図1)。
(3)の映像監視機能とは、映像の配信状況を監視してログ(記録)を取り、品質が劣化したときなどの視聴者の苦情に対して、故障の追跡をできるようにするもの。 こういう方式は現在の地上波テレビにはまったくない機能ではあるが、テレビが一定品質で見られない時間の長短によって、サービス料金を変動させるなどの新しいビジネス・モデルも想定できるため興味深い提案である。具体的な方式は未定で、この機能はオプション項目となっている。
また、リモコンについては、機能上の特許もしくはデザインのIPR(Intellectual Property Rights、知的財産権)の調査を行ってから検討することになった。当然、チャンネルのボタンの数は従来のテレビとは異なったもの(なくなる?)となるだろうし、EPG(Electric Program Guide、電子番組表)の操作には十時キーのようなものも必要になる。さらにVoD番組の検索にはキーボード入力によるフリーワード検索などがあったほうが便利だと予想される。国際標準化の場でどこまで規定するかは難しい問題である。