[スペシャルインタビュー]

OKIのNGN戦略を聞く(2):OKIの強みとNGN製品群

2007/12/10
(月)
SmartGridニューズレター編集部

OKI(沖電気工業)は、事業統合によりNGN領域への対応を強化するなど、NGNに対する積極的な動きが注目されています。金融、公共、トラベルなど、ネットワーク利用者に直結したサービスの提供に強みを持つOKIは、NTTのNGNトライアルにも参加し、NGNの実現イメージを私たちの前に分かりやすく示しています。OKIの執行役員でネットワークシステムカンパニーEVP ネットワークシステム本部長の来住晶介(きし まさすけ)氏に、OKIが考えるNGNへのアプローチ、製品体系とその特徴などについてお聞きしました。
聞き手:インプレスR&D 標準技術編集部 / ランドッグ・オーグ 平野正喜

 

OKIのNGN製品戦略を聞く(2)

≪1≫OKIの製品構成と特徴

■OKIのNGN製品群はどのように構成されていますか。

来住 OKIのIP電話ビジネスにおける豊富な経験をベースに高品質化・大容量化したNGN製品群は、国際標準に準拠しつつ、カスタマイズにも柔軟に対応しています(図5)。製品構成としては、キャリア・ユビキタス・サービス・プラットフォーム、コアIPネットワーク、アクセス・ネットワーク、ホーム・ネットワーク、企業ネットワークに分類できます。


図5 OKIのNGN製品群(クリックで拡大)

■それでは、図5の上部に位置するキャリア・ユビキタス・サービス・プラットフォームの製品群の特徴を教えてください。

来住 キャリア・ユビキタス・サービス・プラットフォームには、高性能、大容量、高信頼性を特長とするNGN向けキャリア・グレードのコミュニケーションサーバがあります。IMSに準拠しており、局用電話交換機と同水準の高信頼性と、世界最高水準の高性能が特長です。具体的な製品としては、業界初のNGN対応セッションボーダー・コントローラ「CenterStage? NX3200」、NGNのサービス基盤に適した大規模通信キャリア向けのコミュニケーション・サーバ「CenterStage? NX5000/NX5100」とPSTN相互接続用コミュニケーション・サーバ「CenterStage? NX5200」があります。また、BEAシステムズ社と共同開発した「SipAs?」は、豊富なイネーブラ(実行機能)を搭載可能なアプリケーションプラットフォームです。

■コアIPネットワークにはどういう戦略をお持ちですか

来住 コアIPネットワークは、MPLS(マルチプロトコル・ラベル・スイッチング技術)などの管理可能なIP技術と、大容量光ネットワークを構築するための製品領域です。ここではシスコシステムズ(Cisco Systems)社、ノーテルネットワークス(Nortel Networks)社などのベンダー商品をコアにした大規模ネットワークSIの提供と同時に、そのノウハウをベースに共同開発による商品力の強化を推進しています。

オプティカル・コアおよびメトロにおいては、GMPLS(光対応のMPLS)を実装したオール光クロスコネクト装置であるカリエント・ネットワークス(Calient Networks)社の「DiamondWave」、ノーテルネットワークス社のマルチサービスエッジ「OME6500」と、シスコシステムズ社のマルチサービスプロビジョニングプラットフォーム「ONS15454」、コリジェントシステムズ(Corrigent Systems)社のPacket ADM(Add/Drop Multiplexer)を提供しています。また、IPコアおよびIPエッジには、シスコシステムズ社の各種ルータ、日立電線株式会社のサービスプロバイダ向けシャーシ型L2スイッチ「Apresia?18000シリーズ」があります。また、既存ネットワークとの接続に必須となるNGNマイグレーション商品として、メディア・ゲートウェイ等も提供しています。

■ユーザーに最も身近なアクセス・ネットワークにはどういう戦略をお持ちですか

来住 アクセス・ネットワークでは、xDSLやFTTHのような固定アクセスと、WiMAXのようなブロードバンド・ワイヤレス・アクセス関連の両方を担う製品を提供していきます。

まず、超高速で高信頼性をもつ光アクセス方式のGE-PON(ギガビット・イーサネットPON)をコアにした各種光アクセス商品を順次投入しています。無線アクセスにおいては、モバイルWiMAXシステムを、光アクセスにおいては、キャリアグレードFTTH、FTTB構築に最適の光アクセス装置などを、そして、メタル・アクセスにおいては、小スペースなVDSL装置と、既存電話網をそのままで電話サービスの品質を劣化させることなくマイグレーションしていくシステムを提案しています。

■次にホーム・ネットワークですが、この領域はNGNにおける激戦区だと思いますが、どのように考えていますか。

来住 NGNにおいてホーム・ネットワークの領域は、通信キャリアやサービス・プロバイダのサービスをお客様に提供する重要な役割を担います。そこでOKIでは、キャリア・ネットワークと家庭環境をシームレスに接続し、情報通信技術の融合により実現する新たなソリューションを用意しています。また、OKIはIPネットワーク上での映像伝送技術「eえいぞう」と、臨場感のある会話を提供することが可能な技術「eおと」を提供しています。

具体的な製品としては、SIP対応のコンシューマ向けブロードバンドVoIPルータ、家庭での映像再生用のハイエンドIPセット・トップ・ボックスがあります。また、家電と情報通信の融合による新たなホーム・ネットワーク・ソリューションを実現する次世代のホーム・ゲートウェイ「BB MediaRouter(BBMR)」も開発しています。

これらのホーム・ネットワークにおける戦略のキーになるのが、前回説明しましたACCESS社との提携です。ホーム・ネットワークとキャリア・ネットワークの融合を実現し、DLNA(Digital Living Network Alliance)仕様に準拠するとともに、WiFi、ZigBee、電力線通信、同軸ケーブルなど多様なインタフェースを収容する次世代のホーム・ゲートウェイを提供するために、OKI ACCESSテクノロジー社とともにまい進していきます(図6


図6 キャリアネットワークとホーム・ネットワークをシームレスに繋げるホーム・ゲートウェイ(クリックで拡大)

■次に、企業ネットワークについて、OKIの強みと具体的な製品群を教えてください。

来住 OKIは企業内のIPネットワークにおいて音声、データ、映像の3分野を統合するテクノロジーを確立しています。NGNのサービスとして注目されている高音質IP電話、高品質TV電話、IP映像サービス及び業務アプリケーションと連携した高度なIPコミュニケーションサービスを企業様向けに提供し既に豊富な実績を有しています。

この実績と先進のテクノロジーをベースに、企業内IPセントレックス、モバイル・セントレックス、IPコンタクトセンタ、IP映像ソリューション、業務アプリケーション連携など、付加価値の高い企業ネットワークソリューションを提供することができるわけです。

IPテレフォニーの具体的な製品としては、2万人規模の企業内IPセントレックスを実現するIPテレフォニーサーバ「IP CONVERGENCE? Server SS9100」、大規模オフィスのハイブリッドIP-PBX「DISCOVERY?01」、中小規模オフィスに最適なIP&モバイル ビジネスホン「IPstage?シリーズ」、豊富な導入実績を持つVoIPゲートウェイ「BVシリーズ」、安価で高セキュリティを実施するARUBA社のハイセキュリティな無線LANシステム商品やVoIP対応無線LANアクセスポイント「MWINS?」などがあります。更に業務アプリケーション連携などにより、いつでも・どこでも・誰とでも、快適なコミュニケーションが可能なオフィス環境を提供する「IP CONVERGENCE? Server AS8700」があります。また、国内トップクラスの導入実績を誇るIPコンタクトセンター「CTstage?」、汎用ビデオ配信サーバ映像配信統合プラットフォーム「OKI MediaServer」、高品質なビデオ会議システム「VusualNexus?」があります。


図7 OKIが提供する企業ネットワーク製品群(クリックで拡大)
URL名称: OKI NGNソリューション
URL: http://www.oki.com/jp/ngn/

■最後にOKIの製品戦略全体にかかわっているパートナー戦略と、海外展開についてお聞かせください。

来住 まず、OKIの商品を実現するためにはBEAシステムズ社やシスコシステムズ社、マイクロソフト社など多くのパートナーとの関わりが大きなポイントになっています。今後も積極的にパーナー戦略を実現していきます。

一方、海外展開については、OKI全社において方針が決定されているので、昨年11月から中国では企業向けIP-PBXをはじめ、IP-STBなどの販売活動を行っています。今後は、キャリア向けにおいても、積極的に展開していこうと思います。

■ありがとうございました。

(終わり)

プロフィール

来住 晶介(きし まさすけ)

現職:沖電気工業株式会社 執行役員 ネットワークシステムカンパニーEVP ネットワークシステム本部長

1980年3月 東京大学大学院工学系研究科(電気工学専攻)卒業 同年沖電気工業株式会社入社
1995年10月 情報通信システム事業本部マルチメディアシステム
開発センタ・マルチメディアシステム開発部長
1996年3月 情報通信システム事業本部ルチメディアシステム 開発センタ・パーソナルシステム開発部長
1998年4月 デバイスビジネスグループLSI事業部 方式開発部長
1999年4月 デバイスビジネスグループLSI事業部 プラットフォーム開発部長
2000年6月 シリコンソリューションカンパニーLSI事業部 プラットフォーム開発部長
2001年4月 シリコンソリューションカンパニーLSI事業部 ワイヤレスLSI商品開発第二部長
2004年4月 シリコンソリューションカンパニーVP兼デザイン本部長
2005年4月 半導体ビジネスグループ・シリコンソリューションカンパニー EVP兼デザイン本部長
2006年4月 同執行役員(現) 情報通信事業グループSOO兼ネットワークシステム カンパニーEVP兼ネットワークシステム本部長
2007年4月 情報通信グループSOO兼ネットワークシステムカンパニー EVP兼ネットワークシステム本部長(現)

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...