2015年11月16日、株式会社日立製作所(以下:日立、東京都千代田、執行役社長兼COO:東原 敏昭)、株式会社日立産機システム(以下:日立産機、東京都千代田区、取締役社長:青木 優和)、株式会社日立産業制御ソリューションズ(以下:日立産業制御、東京都台東区、取締役社長:髙山 光雄)は、IoT(Internet of Things)やグローバル展開に対応するため、オープン化、高性能化、シンプル化を実現した次世代型の産業用コントローラを共同で開発したことを発表した。
写真1 ミドルレンジ機:IoT対応 次世代型産業用コントローラ「HXシリーズ」
写真2 ハイエンド機:IoT対応 次世代型産業用コントローラ「HF-W/IoTシリーズ」
同次世代型産業用コントローラのミドルレンジ機(写真1)を日立産機から、ハイエンド機(写真2)を日立産業制御からそれぞれ製品化し、2016年4月より順次販売開始する。主に、包装機械、搬送機械、工作機械、半導体・液晶製造装置、計装など幅広い産業分野向けに拡販を予定する。同コントローラの特徴は次の通り。
◆次世代型産業用コントローラの特徴
- オープン化:
国際標準であるIEC61131-3規格※1に準拠するプログラミング言語を採用することで、グローバルでのプログラミング技術者の確保を容易にし、グローバル生産体制の構築を支援する。また、産業用オープンネットワークであるEtherCAT※2を採用することで、近年急速に普及が進んでいるEtherCAT対応の多くの設備機器につながり、データをシームレスにクラウドまで伝送できる環境を提供する。
- 高性能化:
近年の処理速度が高速化したCPU性能を活かし、ソフトウェアPLC※3であるCODESYS※4を搭載することにより、1つのCPUにて、決められた順序に従い制御を行うシーケンス制御※5と、センサーと同期させた高度なモーション制御を同時に実行可能にする。
- シンプル化:
PLCとIPCとの機能を併せもつPAC※6(プログラマブル・オートメーション・コントローラ)として、次世代型産業用コントローラを開発した。これにより、従来に比べて導入・開発・メンテナンスコストの削減と省スペース化を実現する。
同次世代型産業用コントローラの導入により、顧客のオートメーションシステムのオープン化を支援するとともに、コストの削減と技術者の負担軽減を図ることで、IoT対応やグローバル展開を容易にする。
日立では、2015年5月1日にインダストリアルプロダクツ社を設立するなど産業機器事業のグローバル競争力を強化するとともに、オープンイノベーションを通じて、IoT分野における事業拡大に注力しており、同次世代型産業用コントローラは、こうした方針に基づき開発・製品化された。日立および日立産機、日立産業制御では同製品の拡販を通じて、世界の産業の発展に貢献していく。
※1 IEC61131-3規格:国際電気標準会議(IEC)が1993年12月に発行した標準規格であり、PLC用(Programmable Logic Controller)の5種類のプログラミング言語を定義したもの。ラダー・ロジック(LD言語)、シーケンシャル・ファンクション・チャート(SFC言語)、ファンクション・ブロック・ダイアグラム(FBD言語)、ストラクチャード・テキスト(ST言語)、インストラクション・リスト(IL言語)の5種類。
※2 EtherCAT:ドイツのBeckhoff Automation GmbHがライセンスを供与する特許取得済みの技術、およびその登録商標。Ethernetベースの産業用オープンネットワークであり、半導体製造装置、電子部品組立機や塑性加工機など高速性、高い同期精度が求められるFA装置向け制御ネットワーク。
※3 ソフトウェアPLC:PLC機能をコンピュータの汎用OS上で実現するためのプログラミング環境・実行環境ソフトウェア。
※4 CODESYS:ドイツの3S-Smart Software Solutions GmbHが提供する、国際標準規格IEC61131-3に準拠したプログラミングシステム、およびその登録商標。
※5 シーケンス制御:あらかじめ定められた順序または手続きに従って、制御の各段階を逐次進めていくための制御。家庭用電気器具をはじめ、工場の自動制御機器などさまざまな分野において利用されている。
※6 PAC(Programmable Automation Controller):従来の典型的なPLCの機能に加え、より高度な制御、多機能なネットワーク、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)など、多様なニーズに対応するための機能を備えた新しいタイプのコントローラ。