2016年2月18日、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下:NTTコム、東京都千代田区、代表取締役社長:庄司 哲也)は、IoT活用・IoTサービスの信頼性・安全性・経済性・効率性を高めるための技術検証環境「グローバルクラウドIoTテストベッド」(以下:IoTテストベッド)の運用を開始したことを発表した。
同IoTテストベッドには、IoTに関連する技術・製品を保有する国内外のハードウェアベンダー、ソフトウェアベンダー、システムインテグレーターなどがアライアンスを組み参加する。参加各社※1にはNTTコムのクラウドサービス「Enterprise Cloud」とグローバルVPN「Arcstar Universal One」を参加期間中無償提供し、それらと各社の最新の技術・製品・サービスを組み合わせて実装に取り組む。これにより、相互接続性、動作安定性、処理性能、データ解析精度、運用性などを評価検証し、より使いやすく安心・安全なIoTサービスの実現に向けた技術開発、サービス開発を加速していく。
図 IoTテストベッド システム構成
IoTテストベッドを活用した一連の取り組みを通じて得られる成果は、NTTコムのサービス開発・改良に役立てるだけでなく、各業種業界の企業・団体に広く共有していく。また同IoTテストベッドの参加企業・団体は随時募集し、アライアンスを国内外に拡大を予定する。
◆IoTテストベッドの取り組み詳細:
IoTテストベッドに参加する企業は、以下のテーマの技術検証を順次実施していく。
- プロトコル変換ゲートウェイを用いたLANとWANの接続テスト:
産業用Ethernetと呼ばれる、CC-Link IE※2、PROFINET※3、EtherNet/IP※4などのベンダー固有の通信プロトコルを通信機器で標準プロトコル(OPC UA※5など)に変換し、NTTコムのクラウドへ光ファイバーやモバイル回線で送信し、実際の通信速度やデータ処理性能の限界を測定する。
- 多拠点大量データの伝送およびリアルタイム処理性能テスト:
さまざまなベンダーのデバイスから送信される大量のデータを損失することなく確実にクラウドで受信し、リアルタイムに処理・蓄積できるネットワーク制御技術やミドルウェア、データベースシステムなどをNTTコムのクラウド・ネットワーク基盤上で動かし、データ処理性能や動作の安定性、実用性を検証する。
- エッジコンピューティング技術の実装テスト:
多数のセンサーやカメラが取得する大量のIoTデータの高速・リアルタイム解析を低コストで実現するため、データ蓄積・処理機能をクラウドのほか通信ゲートウェイなどエッジ(デバイス)側にも分散し、効率的にデータ処理できるエッジコンピューティングシステムをNTTコムのクラウド・ネットワーク基盤上で構築し、処理性能や動作安定性を検証する。
- IoTサービスの開発運用業務効率化に向けた各種APIを活用する開発手法の検証:
新たなIoTサービスやアプリケーションの実現可能性を評価するために、必要なデバイス、ネットワーク、クラウド、アプリケーション、セキュリティなどのAPIを、GUIを用いて任意に組み合わせ、短時間・簡易にIoTサービスの機能開発・追加ができる開発環境をNTTコムのクラウド上に構築する。その上でPoC開発を実際に行いながら使い勝手を評価し、サービス開発環境のさらなる利便性向上を目指す。
◆今後の展開:
IoTテストベッドに参加する企業、業界団体、研究機関などを今後も募り、IoTサービスの進化に役立つ技術や製品の評価を進め、新技術の開発・実用化・導入を促進していく。また、2016年4月以降にIoTテストベッドをグローバルVPN回線でつなぎ、海外拠点との接続の提供も予定する。
さらに、日本政府(経済産業省・総務省)が進めるIoT推進ラボ/スマートIoT推進フォーラムの活動に参画し、IoTテストベッドを活用しながら技術検証・実証事業・新規ビジネス創出を進めていくとともに、VEC(Virtual Engineering Community)、IVI(Industrial Value Chain Initiative)、重要生活機器連携セキュリティ協議会(CCDS)、一般財団法人インターネット協会 IoT推進委員会、東京大学生産技術研究所IoT特別研究会、名古屋工業大学などの各種団体やコミュニティとも連携して、IoT関連技術の共同検討・共同実験を推進する。これらIoTテストベッドを活用した一連の取り組みを通じて得られる成果は、NTTコムのサービス開発・改良に役立てるだけでなく、各業種業界の企業・団体に広く共有し、共同検討・共同実験・などを通じてICTを活用した新しいソリューションや新サービスの創出を促し、持続可能で活力ある豊かな社会の実現に貢献していく。
※1 参画企業名および各社のIoTテストヘッドの取り組み:
- プロコトル変換ゲートウェイを用いたLANとWANの接続テスト:
NTTコミュニケーションズ株式会社
株式会社たけびし
- 多拠点大量データの伝送およびリアルタイム処理性能テスト:
NTTコミュニケーションズ株式会社
日本アイ・ビー・エム株式会社
日本オラクル株式会社
- エッジコンピューティング技術の実装テスト:
イノテック株式会社
インテル株式会社
NTTコミュニケーションズ株式会社
株式会社関東エルエンエンジニアリング(ケブウェア日本総代理店)
シーメンス株式会社
シスコシステムズ合同会社
ネットワンシステムズ株式会社
- IoTサービスの開発運用業務効率化に向けた各種APIを活用する開発手法の検証:
株式会社ウフル
NTTコミュニケーションズ株式会社
(20162月18日現在、五十音順)
※2 情報系から生産現場までをシームレスにつなぐ、Ethernetベースの統合オープンネットワーク。
※3 工場現場で使用するため、製造システムの厳しい要求に対応できる仕様を備えた産業用Ethernet標準。
※4 CIP(Common Industrial Protocol)制御用通信プロトコルを標準Ethernet上のアプリケーション層で実行する、オープンでグローバルな産業用Ethernet。
※5 産業オートメーション分野やその他業界における、安全で信頼性あるデータ交換を目的とした相互運用の標準規格。
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