[ニュース]

古くなった風力発電機の検査診断サービスが始まる

2016/10/06
(木)
SmartGridニューズレター編集部

テュフ ラインランド ジャパンは稼働20年以上の風力発電機を対象に、「風力発電機の耐用サービス」の提供を始めた。

2016年10月6日、テュフ ラインランド ジャパンは稼働20年以上の風力発電機を対象に、「風力発電機の耐用サービス」の提供を始めた。このサービスを利用することで、古くなった風力発電機の継続運用がどれくらい可能なのか、あるいは停止して解体しなければならないのかの判断材料を得られる。

一般に風車の耐用年数は20年程度。今後数年で、日本でも耐用年数を迎える風力発電機が増加することから、サービスの提供を始めたとしている。ヨーロッパでは古くなった風力発電機の検査を法的に義務付けている国がある。テュフ ラインランドはすでに、ヨーロッパでこのサービスの提供を始めているという。

検査は風力発電機の機械的検査と、データ分析の2本立て。機械的検査では、タワー、基礎、主要機器、油圧機器、安全装置、センサー、ブレーキ、コントロールシステム、メインフレーム、ブレードなどの状態を調査する。それぞれの動作状況、ダメージ、磨耗、腐食、異音などを確認する。

ギアボックスやメインベアリングのギア、ベアリングといった主要部品は、内視鏡を使って内部を丹念に調べる。さらに、ギアボックスに入っている潤滑油を採取し、これも検査する。潤滑油を調べることで、金属摩耗の状態、異物混入の有無などが分かるという。

データ分析では、設計時の各種資料と風力発電機の現状を見る。風車の現状は、稼働時間、運転状況、発電量、ロータースピードと風速値、メンテナンス履歴、修復履歴などのデータから判断する。設計時と現状を比較して、性能の低下度合いなど、風力発電機の疲労状況を分析する。

調査分析結果はレポートにまとめて依頼者に引き渡す。レポートには、調査分析結果から推計した、風力発電機の寿命の推定値を記してある。依頼主はこのレポートを見て、今後メンテナンスにかかる費用や、発電量などを考慮して、運転をどれくらい継続させるのか、それとも停止するのか判断する。

テュフ ラインランド ジャパンではすでにエコ・パワー株式会社が運営する「たちかわ風力第1・第2発電所(山形県庄内町)」で調査を実施している。この発電所は1996年1月に運転を開始しており、今年で運転期間が20年に達したところだった。

たちかわ風力第1・第2発電所

たちかわ風力第1・第2発電所(出典:エコ・パワー株式会社)


■リンク
テュフ ラインランド ジャパン

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