石油資源開発、三井物産、大阪ガス、三菱ガス化学、北海道電力の5社は2016年10月11日、福島県相馬郡の相馬港(図1)に「相馬港天然ガス火力発電所(仮称)」の建設を始めることで合意した。環境影響評価法の基づく環境アセスメントなどの手続きが済み次第、建設を始める。2017年夏頃に着工し、2020年春に商業運転を始めることを見込んでいる。
図1 相馬港天然ガス火力発電所(仮称)の建設予定地
出所 福島ガス発電
この事業を担当しているのは、先に挙げた5社が出資して設立した「福島ガス発電株式会社」これまで、事業化の検討と環境アセスメントなどの手続きを進めていた。また、これまでは石油資源開発と三井物産の2社だけが出資する会社だったが、本日から大阪ガス、三菱ガス化学、北海道電力も出資することが決まった。
相馬港天然ガス火力発電所には、天然ガスを燃料とするコンバインドサイクル方式の発電設備2基を建設する予定。出力は1基当たり59万kW。合計で118万kWとなる。
図2 相馬港天然ガス火力発電所の完成イメージ
出所 福島ガス発電
また、隣接する「JAPEX相馬LNG基地」の敷地内に、国内最大級となる23万キロリットル級の地上式LNG貯蔵タンクを1基建設することも予定している。合わせてLNG気化装置の建設も予定している。タンクと気化装置の建設、運用、LNGの供給、気化などの業務は石油資源開発に委託する予定。
ちなみに石油資源開発は現在、JAPEX相馬LNG基地に23万キロリットル規模のLNG貯蔵タンクやLNG気化装置などの建設を進めており、2018年3月の操業開始を予定している。福島ガス発電が計画しているLNG地上タンクが完成すれば、2つのタンクで合計46万キロリットル程度のLNGを貯蔵できるようになる。
この発電所の計画は2014年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」に沿ったもの。この方針には「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」がある。今回の発電所建設計画は、この構想の1つである「新たなエネルギーの創出(環境負荷の低いエネルギーの導入)」プロジェクトを具現化しようというものだ。福島ガス発電と、同社に出資している5社は、発電所の建設と運営開始を通して、福島県浜通り地域の産業基盤を再構築し、新たなまちづくりに取り組むとしている。
ちなみに、発電所建設の事業主体である福島ガス発電株式会社の出資比率は石油資源開発(33%)、三井物産(29%)、大阪ガス(20%)、三菱ガス化学(9%)、北海道電力(9%)となっている。
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