インフォメティスは2016年10月7日、同社が独自に開発した「家電分離推定技術」を利用して、遠隔地にある家庭の生活を「見守る」技術を東京電力エナジーパートナーに供与することを発表した。東京電力エナジーパートナーは、この技術を活用した一般家庭向けサービスを提供する。提供開始時期は2017年春を見込んでいる。
インフォメティスが開発した家電分離推定技術を利用すると、一般家庭における家電製品の利用状況を高い精度で推定できる。各家電製品にセンサーを取り付ける必要はなく、家庭の分電盤にセンサーを一つ取り付けて、家庭全体の電力使用量の推移を計測し、そのデータから各家電製品の利用状況を推定する。
図 家電分離推定技術を利用した見守りサービスのイメージ
出所 インフォメティス
センサーは1秒単位でデータを計測し、クラウドに送信する。データを受け取ったクラウドは独自のアルゴリズムでデータを分析し、各家電製品の使用状況を推定する。推定時は機器の使用時間や機器の動作パターンなどを参考にして、データを分析するという。
この技術を利用して、特定の家庭の電力使用状況を分析すると、生活状況をつかむことができる。例えば、数日に渡って家電製品が一切動作していない、あるいは長時間に渡って特定の家電製品が動作し続けているという異変を検知できるというわけだ。さらに、深夜に家電製品が動作することが多くなったとか、調理や掃除といった家事の回数や時間帯が変化したといったことから、生活パターンの変化を読み取ることもできる。家電製品の利用状況はWebアプリケーションを通して確認することができる。
例えば、年老いた両親を心配して、両親宅を頻繁に訪問しているという人は多いと思う。そして、心配はしていてもなかなか訪問できないという人も多いだろう。このような時、両親宅のあちこちに監視カメラを設置して、遠隔地から異変がないか確認できるようにするという方法が考えられる。しかし、常にカメラで監視されているというのはあまり気持ちの良いことではない。親子の間柄とはいえ、見せたくないものもあるはずだ。
その点家電分離推定技術は、カメラを使って視覚的に監視するわけではないので、見られている側の心理的負担も軽くなる。電流センサー1つで済むので低コストで済むということも大きなメリットだ。
インフォメティスと東京電力エナジーパートナーは、この技術を利用したサービスについて、2015年3月からおよそ1年間かけて実証実験を実施した。実験対象となった家庭は300件以上。その結果、センサーの設置しやすさや電力の使用状況を他人に見られることをどれほどの家庭が受け入れるのかといったことを検証し、今回の提携に至ったという。
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インフォメティス