国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年10月17日、ウズベキスタン共和国政府と共同で、同国にガスタービンコージェネレーションシステムを導入する実証事業を実施すると発表した。このシステムの導入により、従来比で消費エネルギーを38%節約することと、電力と熱の安定供給を目指す。
図 ガスタービンコージェネレーションシステム導入で期待できるエネルギー効率改善効果
出所 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
ウズベキスタンでは、全国10カ所に点在する火力発電所が電力のほとんどを供給している。しかし、火力発電所の多くが旧ソ連時代のものであり、老朽化が進み、性能や信頼性が低下している。一方で同国は近年、経済成長を果たし、電力需要が高まっている。
そこで、ウズベキスタン政府は既存発電施設を近代化して、発電効率を高める計画を打ち出している。さらに、国内に2000以上存在する熱供給所を熱電供給所に変えることで、さらに発電量を上げ、電力供給源の分散化を目指している。そこでNEDOは、ウズベキスタンにガスタービンコージェネレーションシステムを普及させることを目指して実証事業を実施することでウズベキスタン政府と合意した。
ガスタービンコージェネレーションシステムを設置する場所は、同国のフェルガナ地区にある熱電併給所。ここに出力17MWのシステムを設置する。さらに、同地区にある熱供給所に出力7MWのシステムを導入し、熱だけでなく電力も供給できる施設に転換する。ガスタービンコージェネレーションシステムの設置は川崎重工業と丸紅ユティリティ・サービスが担当する。
効率の良い発電設備を2基導入することで、エネルギー効率の改善を期待できる。また、遠隔地にある大型発電所から電力を送電していた地域に、近隣からの送電が可能になることで長距離送電による電力ロスも回避できるようになる。総合して消費エネルギー量を38%節約できるようになることを目指す。
実証実験終了後は、同国内にガスタービンコージェネレーションシステムを広く普及させ、周辺諸国への展開も検討するとしている。