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「追加する機器は最小限に」東電パワーグリッドら3社が、住宅内の家電使用状況などを収集するシステムの実証実験

2016/11/07
(月)
SmartGridニューズレター編集部

東京電力パワーグリッドなど3社は、住宅内の家電製品使用状況や気温などの情報を収集、蓄積、加工するシステムの実証実験を共同で開始すると発表した。

東京電力パワーグリッド、日立製作所、パナソニックの3社は2016年11月7日、住宅内の家電製品使用状況や気温などの情報を収集、蓄積、加工するシステムの実証実験を共同で開始すると発表した。実験期間は2017年11月から3月までの3カ月間。東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県など、東京電力パワーグリッドのサービスエリアにある住宅111戸にセンサーなどの機器を取り付けて実験を始める。

今回の実験で運用するシステムの特徴は、住宅に追加する機器を最低限に抑えながら、一つひとつの家電製品の利用状況まで把握する点にある。開発中のセンサーを住宅の分電盤に取り付けて、住宅全体の電力使用量の変動を検知しながら、住宅内の家電一つひとつの電力使用量を分析して算出する。専用の電力センサーなどを取り付けていない住宅でも、このシステムを利用すれば、最低限の投資で各家電の使用状況を把握できる。

電力センサーが検知したデータは、家庭に引き込んであるブロードバンド回線から送信する。インターネットを経由してデータ蓄積用サーバーに接続し、データをサーバーに渡す。

電力センサーのデータをブロードバンド回線から送信するには、住宅内でセンサーと家庭用ルーターの間の通信手段を用意しなければならない。今回の実験では、どのような方式を利用するのが効率が良いのか検証する。現時点では、住宅内に張り巡らしてある電力線を利用する「高速PLC(Power Line Communication:電力線通信)」の利用を検討しているとしている。電力線通信なら、通信のために新たに配線する必要がないので、手間がかからない。

このシステムが実用のものになれば、照明の消し忘れや家電機器の使い過ぎなどを検知して警告を出すこともできる。さらに、家電製品の利用状況から、住宅で暮らしている人の安否を把握することも可能になる。

今回の実験では、東京電力パワーグリッドが全体の取りまとめを担当する。さらに、電力を計測するセンサーの開発やデータ処理の方法を検討し、取得したデータをサービス事業者と共有して協業できるかということも検討する。

日立製作所はデータの蓄積、加工に使用するシステムを担当する。パナソニックは、住宅内機器間での通信に高速PLC(Power Line Communication:電力線通信)がどれほど役立つかを検証する。

図 実験の概要と、各社が受け持つ役割

図 実験の概要と、各社が受け持つ役割

出所 東京電力パワーグリッド


■リンク
東京電力パワーグリッド
日立製作所
パナソニック

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