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東芝が東北電力に水素エネルギー供給システムを納入へ、再エネの出力変動吸収に向けて検証予定

2016/12/19
(月)
SmartGridニューズレター編集部

東芝は、同社が開発販売している水素エネルギー供給システム「H2One」を東北電力に1セット納入すると発表した。

東芝は2016年12月19日、同社が開発販売している水素エネルギー供給システム「H2One」を東北電力に1セット納入すると発表した。2017年3月に納入予定。東北電力はH2Oneを自社の研究開発センター(仙台市青葉区)に設置する。

図 H2One設置後のイメージ

図 H2One設置後のイメージ

出所 東芝

H2Oneは太陽光発電システムなどから電力供給を受け、その電力で水素を作って貯蔵するシステム。貯蔵した水素は燃料電池で発電して、電力として供給できる。今回東芝は、H2Oneシステムの一環として、出力50kWの太陽光発電システム、水素を製造する水電解装置、水素貯蔵タンク、純水素燃料電池、蓄電池、エネルギーマネジメントシステムなどを納入する。

図 H2Oneの動作の流れ。入ってきた電力はエネルギーマネジメントシステムが蓄電池と水電解装置に分配する

図 H2Oneの動作の流れ。入ってきた電力はエネルギーマネジメントシステムが蓄電池と水電解装置に分配する

出所 東芝

今回納入する水電解装置の水素製造能力は1時間当たり5Nm3(ノルマル立方メートル:0℃、1気圧のときの容積)。タンクには水素吸蔵合金を内蔵しており、大量の水素を吸収、放出できる。タンクの水素貯蔵能力は200Nm3。タンクに水素を入れるときの圧力は1Mパスカル未満。タンクから水素を受けて発電する燃料電池の最大出力は10kW程度。電力を貯蔵する機器として、蓄電容量60kWhの蓄電池も備えている。

東北電力はH2Oneを使って、再生可能エネルギーの出力変動の吸収、調整に役立つかどうかを検証する予定。再生可能エネルギーは天候や風の強さによって出力が変動し、安定しない。その問題を解決するために、余剰電力を蓄電池に充電して、必要なときに蓄電池から放出するという形で対策を進めている例があるが、H2Oneを利用して電力を水素に「変換」して貯蔵することで、どれくらいの効果が得られるかを検証するものと考えられる。


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