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明電舎とKDDI、LoRaWANで下水道の氾濫を通知する実証実験実施へ

2017/01/17
(火)
SmartGridニューズレター編集部

明電舎とKDDIは、下水道の水位をセンサーで検知し、LoRaWANでクラウドのサーバーに送信するシステムの実証実験を実施すると発表した。

明電舎とKDDIは2017年1月17日、下水道の水位をセンサーで検知し、LoRaWANでクラウドのサーバーに送信するシステムの実証実験を実施すると発表した。国土交通省の技術支援を受けて、神奈川県厚木市で3月から実施する。

実験では、マンホールのふたに水位センサーと通信機能を持たせた「マンホールアンテナ」を利用する。これは明電舎が東京都下水道サービスと日之出水道機器と共同で開発したもの。マンホールのふたの裏側に通信装置と蓄電池を取り付け、マンホール天面に穴を開けてアンテナを設置したもの。水位センサーはマンホールふたの裏側から下水の水面下までぶら下がるように設置してある。センサーにかかる水圧から、マンホール孔の中のどれくらいの高さまで下水が上がってきているのかを検知する。

図 マンホールアンテナ。マンホールの蓋の裏側に通信機器や蓄電池を設置し、マンホール表面にアンテナを設置してある。センサーは裏側からぶら下げるような形で取り付けてある

図 マンホールアンテナ。マンホールの蓋の裏側に通信機器や蓄電池を設置し、マンホール表面にアンテナを設置してある。センサーは裏側からぶら下げるような形で取り付けてある

出所 明電舎

マンホールアンテナはすでに実用のものとなっており、明電舎は2016年7月から、マンホールアンテナを活用した下水の水位を監視するサービスを提供している。このサービスでは国土交通省が提供する降雨情報も合わせて取得して、ゲリラ豪雨などで下水がマンホールから氾濫する兆候をつかむことを可能としている。ただし、このサービスで使っているマンホールアンテナは3G/LTEで通信して、クラウド上のサーバーにデータを送信するようになっている。

今回の実験では、マンホールアンテナの通信機能の部分をLoRaWAN通信に対応するものに入れ替えて使用する。マンホールアンテナと無線通信する基地局はKDDIが設置する。LoRaWAN基地局に複数のマンホールアンテナからの通信を集約し、基地局からLTEを通してクラウド上のサーバーと通信する形を採る。既存のサービスでは、マンホールアンテナからの通信に通信コストがかかっていたが、LoRaWANを利用することで、基地局までの通信料を無料とすることができ、システム全体の運用コストを下げられると明電舎は期待している。

図 マンホールアンテナから3G/LTEで通信していたものを、LoRaWANで基地局と通信するようにして、通信コスト削減を図る

図 マンホールアンテナから3G/LTEで通信していたものを、LoRaWANで基地局と通信するようにして、通信コスト削減を図る

出所 明電舎

明電舎ではLPWAなどの通信技術を利用して下水道からの浸水や、がけ崩れを検知する防災サービスを提供するべく、準備を進めているという。その後は、地域をカバーするように設置したセンサーからのデータを人工知能で分析し、緊急時の情報の優先付けや災害予測などのサービス、さらにコンサルティングサービスの提供を目指すとしている。


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明電舎
KDDI

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