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サーバーで学習したモデルを使って製造装置のそばで判断、明電舎がエッジ向け機器を発売

2017/11/22
(水)
SmartGridニューズレター編集部

明電舎は、小型のエッジコンピューティング向け機器「AIエッジコントローラ」を発売した。

明電舎は2017年11月22日、小型のエッジコンピューティング向け機器「AIエッジコントローラ」を発売した。外形寸法200×140×47mmと本体は小さいが、AI(Artificial Intelligence:人工知能)で工場の製造装置などから受け取ったデータを分析する能力を持つ製品だ。

図 明電舎が発売した「AIエッジコントローラ」

図 明電舎が発売した「AIエッジコントローラ」

出所 明電舎

機械学習や深層学習のモデルを作ったら、大量のデータで学習させて分析の精度を上げる必要があるが、モデルの学習には膨大なコンピュータリソースが必要だ。一般にはGPU(Graphics Processing Unit)を何枚も搭載したサーバーを使って学習することがほとんどだ。

AIエッジコントローラには深層学習モデルの学習ができるほどのコンピュータリソースはない。そこでこの製品は、高性能なサーバーで学習して、分析精度を上げた「AIパラメータ(学習結果)」を受け取り、これを使って受信するデータを分析する形を採る。

図 学習モデルの構築と学習は、別途用意するサーバーが担当し、AIエッジコントローラは学習結果を受け取り、それを使ってデータを分析する

図 学習モデルの構築と学習は、別途用意するサーバーが担当し、AIエッジコントローラは学習結果を受け取り、それを使ってデータを分析する」

出所 明電舎

このように学習モデルの学習と、その結果を使った分析を受け持つ機器を分けることには、異常を示すデータを受信したときにリアルタイムで対応できるという利点がある。工場の製造機器の稼働データをすべてインターネット経由でクラウドに送信し、クラウドのサーバーでAIを使って分析していては、通信の遅延が長くなり、異常発生にリアルタイムで対応することは難しい。また、AIのモデルで分析することで、製造機器の異常を誤検知することも少なくなるという。

明電舎はこの製品を工場の自動化ラインに向けて開発した。そして2018年1月には半導体製造装置が使用する標準的な通信規格であるSECS(SEMI Equipment Communications Standard)に対応する製品の開発が完了する予定だとしている。


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明電舎

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