エア・ウォーター、鹿島建設、日鉄住金パイプライン&エンジニアリング、日本エアープロダクツの4社は2017年1月24日、北海道河東郡鹿追町(かとうぐんしかおいちょう)に水素製造供給施設「しかおい水素ファーム」を設置し、運営を始めたと発表した。家畜ふん尿から水素を生成し、地域に供給する。環境省が推進する「地域連携・低炭素水素技術実証事業」の採択を受けた実証事業であり、2015年度~2019年度の最大5年間運営する。
図 水素を地産地消するモデルの確立を目指す
出所 エア・ウォーター
今回の実証事業では、家畜ふん尿をメタン発酵施設で処理してバイオガスを作り、そのガスからメタンガスを精製し、メタンガスから水素を製造する。メタン発酵施設は、鹿追町環境保全センターにあるものを利用し、同センター内に水素製造に必要な施設を設置した。
生成した水素は、環境保全センター内にある純水素型燃料電池の燃料とするほか、貯蓄用カードル(ガスを圧縮注入したシリンダーを束ねたもの)に注入して、畜産農家や近隣施設に供給し、電気と温水を作る燃料電池のエネルギー源として利用する。さらに、環境保全センター内に北海道では初となる水素ステーションを設置する。水素ステーションは燃料電池車と燃料電池フォークリフトに水素を供給する。
図 しかおい水素ファームの水素ステーション(左)と水素製造設備(右)
出所 日鉄住金パイプライン&エンジニアリング
水素製造設備の水素生産能力は1時間当たり約70Nm3。カードルに水素を注入する機器の注入圧は19.6MPa。水素ステーションでは、燃料電池車には注入圧70MPaで、燃料電池フォークリフトには注入圧35MPaで水素を供給する。
今回の実証事業では、地域の再生可能エネルギー、未利用エネルギーを活用して水素を精製/製造し、貯蔵、輸送、供給、利用とつながる水素エネルギーのサプライチェーンが有効に働くことを実証する。また、寒冷地で水素を活用する上での課題を洗い出すことも目的としている。