大日本印刷は2017年3月7日、UHF帯ICタグ(RFID)の低価格化に向けて開発に着手したと発表した。2020年までに単価5円以下、2025年には単価1円を目指すとしている。
図 ICタグを貼り付けた商品パッケージ。パッケージ下端の中央にICタグが付いている
出所 大日本印刷
今回の開発の背景には小売業界における人手不足がある。これから少子化、高齢化が進むにつれてさらに深刻になっていく問題だ。例えば、ごく少数の人員で運営するコンビニエンスストアなどでは、店員が個々の商品をすべて把握することは難しい。
対策として経済産業省は、店舗で販売するすべての商品にICタグを貼り付け、商品を個別に管理できるようにすることを目指している。実現すれば、賞味期限の管理などの作業にかかる労力を減らせる。
さらに、レジカウンターでの精算にICタグを利用する動きもある。経済産業省は無人のレジカウンターで精算できる仕組みの導入を目指しており、実証実験も実施する予定だ。商品を入れたかごを所定の位置に置くだけで、カゴの中のすべての商品の単価や数量を把握し、瞬時に合計金額を算出するシステムだ。
しかし、このシステム実現の壁となっているのがICタグの単価だ。大日本印刷によると、現在のところICタグの単価は10円台だという。この単価を下げて、大量の商品すべてにICタグの単価タグを付けられるようにすることが目標ということになる。
単価引き下げの方針として大日本印刷は2つ打ち出している。1つは内蔵するICチップの小型化。現在のICタグは0.5mm角のICチップを内蔵しているが、チップメーカーと協力して2020年までにこれを0.3mm角にするという。
もう1つは、部材や製造方法の見直し。なるべく低価格で生産できる部材を選び、製造方法のムダも省く。これで、2025年までに単価1円の達成を目指す。実現したら、コンビニエンスストアに限らず、小売業界に対して幅広く普及させていくとしている。
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大日本印刷