スズキ、東芝、デンソーの3社は2017年4月14日、インドに自動車向けリチウムイオン蓄電池パックを製造する合弁会社を設立する契約を締結したと発表した。出資比率はスズキが50%、東芝が40%、デンソーが10%となる予定。合弁会社は2017年中に設立し、「可及的速やかに」蓄電池パックの製造をインドで始めるとしている。
インドでは急速な経済成長に合わせるように、自動車も普及しているが、大気汚染が深刻な問題となっている。また、インド政府は自動車の燃費規制を改正する予定を示している。つまり、今後インドで求められる自動車は排ガス量が少なく、燃費が良い自動車ということになる。また、インドでは大型車よりも小型車が人気を集めているという。
そこでスズキはリチウムイオン蓄電池を活用したハイブリッド車など、排ガス量が少なく、燃費が良い小型車を投入する構えだ。今回設立する企業がインドでリチウムイオン蓄電池パックを製造し、その電池パックを組み込んだ自動車をインドで生産し、インド市場で売り出すという計画だ。
今回の合弁に参加した東芝は、スズキが2017年2月に発売した新型「ワゴンR」の「マイルドハイブリッド」システム向けにリチウムイオン蓄電池「SCiB」を提供している実績がある(参考記事)。東芝によると、今回の合弁で東芝はリチウムイオン蓄電池の技術を提供する役目を担うという。合弁会社でどのようなリチウムイオン蓄電池を採用するのかは、これからの話し合いで決めることとしながらも、東芝は「まずはSCiBを推薦する」としている。
図 スズキが2017年2月に発売した新型「ワゴンR」。「マイルドハイブリッド」システムの電源は東芝の「SCiB」だ
出所 スズキ
合弁会社の資本金は約20億円で、さらにおよそ200億円を投じて製造設備を整備するという。製造する電池パックはすべてスズキがインドに設立した製造子会社に供給する計画となっている。スズキはインドで製造した電池パックを搭載した乗用車をインドで製造して提供することで、インドにおいて「環境車」の普及を促進し、同時にインド政府が掲げる「Make in India」政策に貢献していくとしている。