九電みらいエナジー、電源開発、北拓、西部ガス、九電工の5社は2017年4月17日、北九州市の響灘に洋上風力発電所を建設する計画について調査するために特別目的会社(Special Purpose Company:SPC)を設立したと発表した。新会社の社名は「ひびきウインドエナジー株式会社」。5社共同出資で設立する。出資比率は九電みらいエナジーが30%、電源開発が40%、北拓、西部ガス、九電工がそれぞれ10%ずつ。
この計画は北九州市が企画したもので、北九州市北部の「響灘」の海岸に出力50MW(5万kW)規模の洋上風力発電所を建設するというものだ。北九州市は2016年8月に、この事業を実施する事業者を公募し、審査の結果九電みらいエナジーをはじめとする5社のグループが占用予定者(優先交渉者)に決まった。
図 洋上風力発電所の建設予定地である響灘の位置
出所 電源開発
北九州市が公募にあたって建設対象水域と指定したのは、響灘の海岸に接した2水域と少し沖に進んだところに位置する2水域。合計面積は2687ha(2687万m2)。2015年12月に港湾計画を変更し、に「再生可能エネルギー源を利活用する区域」として設定した海域だ。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2017年3月23日に公開した風況マップ(参考記事)によると、この海域は年間平均で秒速6.5~7mの風が吹くと予想できる。
図 緑色の点線で囲んだ部分が、北九州市が公募に当たって建設対象と指定した4つの水域
出所 北九州市港湾空港局
北九州市はこの海域に合計で出力が50MW(5万kW)を超える洋上風力発電所を作る事業者を募集し、九電みらいエナジーら5社は、1750億円程度を費やして、最大で44基の風車を建設するなどの計画を提示し、事業者に決まった。2022年度から着工し、完成した風力発電設備は順次稼働を始めていく計画だ。
今回5社が設立したひびきウインドエナジーは、着工前に対象海域の風況や海底地形、地盤、風力発電設備による騒音の影響、事業として成立する可能性などを調査し、発電設備の基本設計まで担当する予定。調査で良い結果が出れば、スケジュール通りに着工、運転開始となるが、5社はまず調査の結果を待つ構えだ。