IHIは、パーム椰子の房をペレットに加工する技術を確立したと発表した。
IHIは2017年4月26日、パーム椰子の房をペレットに加工する技術を確立したと発表した。パーム椰子の樹には房状にいくつもの実がなる。そこから実を取り出して空となった繊維状の房(Empty Fruits Bunch:EFB)をペレットに加工する技術だ。ペレットはバイオマス発電の燃料として利用できる。IHIはペレットのサンプル出荷を2017年度後半に開始する予定としている。
図 パーム椰子の樹に房状になる実を取り出すとEFBが残る
出所 IHI
パーム椰子から取れるバイオマス燃料としては、実から油を絞り出したパーム椰子殻(Palm Kernel Shells:PKS)が一般的だ。日本でも利用している発電所は少なくない。しかし、実を取った後に残る繊維状の房(EFB)を利用する例は少ない。太平洋セメントとイーレックスが、2019年12月ごろの商業運転開始に向けて建設を進めているバイオマス発電所で、PKSとEFBを燃料として使う予定を立てているが、主に使用するのはPKSとしている(参考記事)。
IHIによると、EFBは腐敗しやすく、水分、塩分、灰分を多く含んでいるため、そのままでは燃料としては使いにくい。現状は大部分が未利用のまま廃棄となっているという。IHIはボイラーメーカーとしての知見を活かして、EFBを微粉炭焚石炭火力発電所や,循環流動層(Circulating Fluidized Bed:CFB)ボイラーで使用できるように改質し、安定した品質のペレットに加工する手法を確立した。現在はマレーシアで、EFBを原料としたペレットを製造するテストプラントを稼働させているという。
図 EFBを原料としたペレットを製造するテストプラント(左)と、EFBペレット(右)
出所 IHI
IHIは今後、このテストプラントを商用実証水準まで拡張する計画を立てている。また、バイオマス燃料を提供するだけでなく、石炭火力発電所での木質バイオマス混焼や、発電設備の効率向上、CO2回収技術など、これまで同社が取り組んできた事業を通してCO2排出量削減に力を入れていくとしている。
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IHI
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