Enel Green Power North America社は2017年5月9日、アメリカ・オクラホマ州で巨大風力発電所「Thunder Ranch Wind Farm」の建設を始めたと発表した。オクラホマ州の北端のガーフィールド郡、ケイ郡、ノーブル郡にまたがる広大な土地に建設する。2017年末までに商業運転を始める予定だ。Enel Green Power North America社は、イタリアの大手電力会社であるEnel社がアメリカに設置した子会社。
Enel Green Power North America社は、Thunder Ranch Wind Farmの建設のために、およそ4億3500万ドル(495億9000万円:1ドル=114円で換算)を投資する、Thunder Ranch Wind Farmの合計出力は、298MW(29万8000kW)となる予定で、Enel Green Power North America社は年間発電量を1.1TWh(11億kWh)と見込んでいる。これはアメリカの一般的な世帯の年間電力消費量にして8万9400世帯分を超えるという。設備利用率を計算すると、およそ43%となる。そして、年間でおよそ79万トンのCO2削減効果を期待できるともしている。
Enel Green Power North America社は現時点で、オクラホマ州で風力発電を手掛ける業者の中でも発電所の出力合計が2番目に大きい業者になるという。すでに「Rocky Ridge(150MW)」「Chisholm View(300MW)」「Origin(150MW)」「Osage Wind(150MW)」「Little Elk(74MW)」「Goodwell(200MW)」「Drift Sand(108MW)」の7つの風力発電所を運営しており、出力合計は1.1GW(113万2000kW)に達する。アメリカ合衆国エネルギー省のエネルギー効率・再生可能エネルギー部(United States Department of Energy, Office of Energy Efficiency And Renewable Energy)の調べによると、オクラホマ州は全米でも有数の風力資源を有しているという。
図 Enel Green Power North America社がオクラホマ州で運営している風力発電所「Chisholm View」。合計出力は300MW
出所 Enel Green Power North America社
さらに、2017年4月にはオクラホマ州中部のローガン郡とキングフィッシャー郡にまたがる敷地に「Red Dirt Wind Farm」の建設を始めた。この風力発電所の合計出力は300MWとなる予定で、年間発電量は1.2TWh(12億kWh)となる見込み。Thunder Ranch Wind Farmと同じく、2017年末までに商業運転が始まる予定だ。
Enel Green Power North America社は、再生可能エネルギーの開発を目的としてEnel社が設立した企業だ。風力に限らず、一般水力、地熱などを活用した発電所を運営しており、アメリカとカナダで運営している発電所の合計出力は3.5GW(350万kW)になるという。