NTTドコモ、横浜市、and factoryは2017年6月22日、住宅にセンサーなどを設置して、クラウドとの通信機能を持たせる「未来の家プロジェクト」を開始したと発表した。横浜市が2017年4月に、設立した「I・TOP横浜」のプロジェクトの一環として実施する。I・TOP横浜とは、先端技術を活用したビジネスの推進に向けて企業同士の交流、連携、プロジェクト推進などを支援する試みだ。
「未来の家」を構成する主な要素は主に4つ。1つ目は専用アプリケーションをインストールしたスマートフォン。2つ目はクラウドのサーバー。3つ目は通信機能を持つ家電製品。4つ目は家電製品と無線通信し、クラウドと連携するホームゲートウェイ。ホームゲートウェイはスマートフォンで代用することも可能となっている。
家電製品の中でも、体重計や活動量計、血圧計、環境センサー、睡眠の深さを測る睡眠センサー付きのベッド、家電製品の消費電力量を計測する「ワットチェッカー」などのセンサー機器は、住人の活動に応じて検出した値をホームゲートウェイに無線通信で送信する。通信方法はBluetooth、無線LANのほか、有線Ethernetの採用も考えているという。ホームゲートウェイはインターネット経由でクラウドのサーバーにデータを届ける。
クラウドサーバーは届いたデータを蓄積し、週ごとなどの単位で解析して、グラフなどを作る、ユーザーが持つスマートフォンの専用アプリケーションで、クラウドのサーバーに接続すれば、センサーの検出値の推移や合計を確認できる。
スマートフォンの専用アプリケーションには、玄関錠やエアコン、照明などを遠隔操作するボタンがある。このボタンを押すと、クラウドのサーバーに通信が届き、サーバーからホームゲートウェイを通して家電に制御信号が届く。ユーザーが指定した通りに動作、停止、運転状態の変更などが可能だ。
図 「未来の家」の構成図
出所 NTTドコモ
家電製品との通信で重要な役割を担っているのがNTTドコモが開発したAPI(Application Programming Interface)仕様である「デバイスWebAPI」だ。家電製品と直接通信するゲートウェイあるいはスマートフォン内部で動作するHTTPサーバーがREST形式のWebAPIを受け付け、HTTPサーバーに組み込んだ「プラグイン」を通して家電製品を制御する。
現在のところは、センサーの計測値をスマートフォンで確認でき、スマートフォンから家電製品を制御できる段階まで完成しているが、直近の予定として、住宅全体の電力消費量を検知して、クラウドのサーバーにデータを送信する電力センサーを開発して設置する計画があるという。現時点ではコンセントにプラグが刺さっている家電製品の電力消費量のみを検知する「ワットチェッカー」だけが稼働しているので、住宅全体の電力消費量を把握して、エネルギー消費量の節減も視野に入れる。
さらに将来は、クラウドのサーバーに蓄積したデータをAI(Artificial Intelligence:人工知能)で分析し、その結果に基づいて家電製品の稼動状態を自動的に調節することを目指しているという。また、未来の家にある家電製品も増やしていく予定だ。