NTTドコモは2017年6月27日、中国China Mobile Communications(チャイナモバイル)と埋込み型SIM(eSIM:Embedded Subscriber Identity Module)の管理システムを連携させたと発表した。eSIMとその管理システムのメーカーとしてNTTドコモはドイツGiesecke & Devrient社(G&D社)を選択し、チャイナモバイルはオランダGemalto社を選んでいる。本来、管理システムのメーカーが異なる場合はeSIMの相互連携は難しかったが、GSMA(GSM Association)が新たに策定した仕様に従って連携機能を実装した。
もともと、eSIMはIoTのセンサー機器や建設機器、車両などに組み込むことを想定したもので、他国に機器を持ち込んでもSIM情報を遠隔操作で書き換えることで、その国での通信をすぐに可能にするというものだ。しかし、前述のeSIMとその管理システムのメーカーの違いという問題があり、他国に持ち出してもNTTドコモの管理システムがeSIMにその国の通信事業者の情報を書き込まなければならないということがあった。
図 eSIM管理システム連携前(上)と連携完了後(下)のシステムの役割の違い
出所 NTTドコモ
NTTドコモとチャイナモバイルは今回、GSMAが2016年5月に策定した技術仕様「Remote Provisioning Architecture for Embedded UICC」に基づいて連携機能を実装した。NTTドコモによると、eSIMメーカーが異なるシステム間の連携機能を商用環境に投入したのはこれが世界初の例になるという。また、eSIM業界の大手2社(G&D社とGemalto社)のシステムの連携が成功したことで、世界的に連携が進むとの期待もある。
今後両社は自動車や建設機械、農業機械などを日本から中国に輸出しているメーカーを対象に、機器に組み込んだeSIMを入れ替えることなく通信仕様を日本仕様から中国仕様に素早く切り替えるサービスを提供することを検討するとしている。このサービスが順調に立ち上がれば、今度は中国で生産したIoTのセンサー機器などに埋め込んだeSIMの情報を、日本で素早く書き換えるサービスの提供が期待できる。
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NTTドコモ