Volkswagen Groupは2017年9月11日(ドイツ時間)、2030年までにグループの全車種に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの電動車種を用意すると発表した。同社が“Roadmap E”と呼ぶこの計画は、VolkswagenだけでなくAudi、Porsche、Lamborghini、Bentley、Bugatti、Škodaといったグループ企業の全車種に電動オプションを用意するというものだ。グループ企業の車種を合計するとおよそ300車種になる。
Volkswagen GroupのCEOであるMatthias Müller氏は「これはぼんやりとした意思表明などではなく、強い決意に基づく公約だ。電動化に向かう自動車業界の動きは、もはや止められるものではない。Volkswagen Groupが先頭に立ってこの動きを加速させていく」と決意の強さを示した。
図 Volkswagen GroupのCEOであるMatthias Müller氏
出所 Volkswagen Group
“Roadmap E”実現のために、2030年までに200億ユーロ(2兆6400億円:1ユーロ=132円で換算)を投資することも明らかにした。この資金で、EVやPHV製造のための工場の改造や、従業員教育、蓄電池技術の研究、充電ステーション整備などに取り組む。
そして、具体的な計画も明らかにした。EVを50車種、HVを30車種、合計で電動車種を80車種発売する。2030年に向けた目標の達成度合いによっては、この数は増える可能性があるともしている。グループの4車種のうち1車種、年間出荷台数にすると300万台ほどは、2025年までに完全なEVにできるという見通しも明らかにしている。
予定通り電化が進むと、2025年には車両に内蔵する蓄電池が、蓄電容量合計で150GWh(1億5000万kWh)に達する。この莫大な量を調達するために、Volkswagen Groupはヨーロッパ各国、中国、アメリカの企業と提携を結んでいるとしている。発注の数は、金額にして500億ユーロ(6兆6000億円)を超える、自動車産業市場最大規模のものになるという。
そして、莫大な数の発注は自動車電化の第一波に過ぎないとし、次世代の蓄電池である固体型蓄電池の実用化に向けて動き始めていることも明らかにした。パートナー企業と協力して、固体型蓄電池の実用化にとどまらず、本格的な普及を図るとしている。
CEOのMüller氏は「自動車に起こりつつある大変革と、エネルギー業界に起こっている大変革は不可分なものだ。そして、“Roadmap E”実現のためには充電ステーションを一刻も早く、より大規模に設置していくことが欠かせない。そしてヨーロッパ諸国、特に自動車産業の一大拠点であるドイツにおいてはさらに多くのやらなければならないことがある。すべてをやり遂げた時に初めて、顧客から大きな信頼を得ることができ、EVがニッチなものでなくなる。そのとき、EVは相応の市場シェアを獲得するようになるだろう。これは、政治家やエネルギー業界、そして自動車業界が協力すれば実現すると確信している。と、“Roadmap E”に向けた意気込みを語った。
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