国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とアメリカ・エネルギー省燃料電池技術室(United States Department of Energy Fuel Cell Technologies Office:DOE FCTO)は2017年10月6日、燃料電池車(FCV)と水素ステーションの普及に向けて積極的に情報を交換していくことに合意したと発表した。NEDOは自動車が国際的に流通する商品であることから、FCVと水素ステーションの本格的な普及拡大を目指すには国際的な連携体制が不可欠と考え、今回の合意に至ったとしている。
図 General Motorsがアメリカ陸軍に供給している軍用車両「Chevrolet Colorado ZH2」。ピックアップトラック「Chevrolet Colorado ZR2」を基に、燃料電池車とした車両だ
出所 General Motors
FCVについては、トヨタ自動車や本田技研工業といった日本の自動車メーカーが積極的に開発を進めているが、日本国内においても燃料である水素を補給する水素ステーションの普及が進まず、FCVの普及も進んでいない。
一方アメリカでは厳しいゼロエミッション車規制を施行しているカリフォルニア州を中心に、FCVが少しずつ普及している。政府と自動車業界が共同で水素ステーション設置を促進する団体「H2USA」が普及を後押しするなど、水素ステーションの設置も進みつつある。
また、アメリカやヨーロッパの自動車メーカーも燃料電池車の開発を進めている。Daimlerは、電源として燃料電池のほかに、外部から充電可能なリチウムイオン蓄電池も搭載したプラグインFCV「Mercedes-Benz GLC F-CELL」を2017年9月のフランクフルトモーターショーで公開した(参考記事)。同社は2017年中の発売を目指している。
General Motorsは、ピックアップトラック「Chevrolet Colorado ZR2」を基に開発したFCV「Chevrolet Colorado ZH2」(上図)をアメリカ陸軍に供給している。陸軍は走行時に音を発生させないという点や、燃料消費量が少なく、長距離を走行できる点に注目して導入した。現在は本格導入に向けて評価を続けている。
NEDOとDOE FCTOは、FCVの市場環境整備に向けて、FCVの安全性に関する情報や、水素ステーションを効率良く運用する方法など、日米両国が有する情報を積極的に交換していくとしている。さらに、今後数か月以内に共同でワークショップを開催し、意見を交換する予定も明かしている。
■リンク
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
United States Department of Energy