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IKEAの新店舗に設置したEV/PHEV用充電スタンドで、デマンド抑制の実証実験が始まる

2017/10/12
(木)
SmartGridニューズレター編集部

日東工業、豊田自動織機、イケア・ジャパンは、イケア・ジャパンの新店舗にEVやPHEVに向けた充電スタンドを設置し、デマンドを抑制する実証実験を始めると発表した。

日東工業、豊田自動織機、イケア・ジャパンは2017年10月11日、イケア・ジャパンの新店舗に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に向けた充電スタンドを設置し、デマンドを抑制する実証実験を始めると発表した。10月11日に開店する新店舗「IKEA長久手」(愛知県長久手市)に充電スタンドを9基(親機1基と子機8基)設置し、同時利用台数に応じて1台1台に供給する電力を調節する。

図 実験の場となる「IKEA長久手」のイメージ図

図 実験の場となる「IKEA長久手」のイメージ図

出所 イケア・ジャパン

充電スタンドの同時利用者が増えると、供給する電力量の合計値は上昇する。9基の充電スタンドがすべて使用中になったら、かなりの量の電力を供給することになる。その結果、充電スタンドを設置した運営者が支払う電気料金は跳ね上がり、場合によっては電力供給契約を切り替えて、受電設備を交換する必要もある。これでは、充電スタンドを設置しようと考える企業や個人は増えないと日東電工は指摘する。

今回の実験では独自開発の「スマート充電システム(仮称)」を導入して、同時使用台数に応じて1台1台に供給する電力量を調節し、充電設備全体が消費する電力量を抑制する。そして、デマンド値(30分単位の最大需要電力)の上昇を抑え、電気料金の「基本料金」が跳ね上がることを防ぎ、契約電力の変更や受電設備の入れ替えをすることなく、充電スタンドを無理なく運用できることを実証する。

設置する充電スタンドは日東工業と豊田自動織機が共同開発したもの。1台の親機に複数の子機がつながる構成にすることで、充電状態を管理するサーバーとの通信コストの抑制を狙ったものだ。通常の充電スタンドは1台1台がLTEなどで通信するモジュールを備え、会員認証や充電量に応じた課金データなどを管理サーバーとやり取りする。1台1台がそれぞれ通信するため、通信コストが膨れ上がる傾向があった。

図 今回設置する充電スタンド。右が親機で左が子機

図 今回設置する充電スタンド。右が親機で左が子機

出所 豊田自動織機

今回設置したスタンドは設置時に子機と親機の間をデータ通信線で接続し、それぞれの子機の通信データを親機に集約し、親機がLTE通信ですべてのデータをサーバーに送信する構成とした。充電スタンドは複数あるが、LTEの通信契約は1回線で済むので、通信コストを削減できる。今回の実験では、充電した電力量の変化を示すデータなどをサーバーに送信し、そのデータを検証する。

IKEA長久手は、今回設置する9基の充電スタンドを来店客向けに無料で開放する。200Vの普通充電に対応したスタンドであるため、満充電には9時間ほどかかるが、店舗滞在中の継ぎ足し充電で来店客が利用することを想定している。実証実験の終了時期はまだ決めておらず、今後の3社の協議で終了時期を決めるという。そして終了後はデータなどを検証し、デマンドを抑制するシステムの商用化を検討する。


■リンク
日東工業
豊田自動織機
イケア・ジャパン

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