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NTT西日本、センサーとLoRaWANで産廃の量を遠隔から把握して回収効率を上げる実証実験開始

2017/11/15
(水)
SmartGridニューズレター編集部

NTT西日本は、センサーやLoRaWANネットワークを利用して、産業廃棄物の回収効率向上を狙う実証実験を開始したと発表した。

西日本電信電話(NTT西日本)は2017年11月15日、センサーやLoRaWANネットワークを利用して、産業廃棄物の回収効率向上を狙う実証実験を開始したと発表した。京都府が公募した「平成29年(2017年)度スマート・センサー活用リサイクル促進モデル効果検証等事業」の採択を受け実施するもの。2018年3月30日まで実施する。

この実験では、排出事業者の廃棄物保管所にセンサーを設置して廃棄物の量をリアルタイムで確認できるようにする。センサーが検知した廃棄物の量を示すデータはLoRaWAN、あるいは3G通信でサーバーに送信する。サーバーは、それぞれの事業者が出す廃棄物の保管量が、事前に設定したしきい値を超えたところ、あるいは近いうちに超えると予測できる場合に回収業者に通知を出す。同時にサーバーは、効率が良い回収ルートを分析して回収事業者に提示する。回収業者はポータルサイトにアクセスして、効率の良い回収ルートを確認し、回収計画を考案する。

図 業者が出す産業廃棄物の量を把握し、適切な回収ルートを導き出す

図 業者が出す産業廃棄物の量を把握し、適切な回収ルートを導き出す

出所 西日本電信電話

この実験の狙いは産業廃棄物の処理コストを削減する点にある。現在、産業廃棄物の処理にかかるコストは日本国内だけでおよそ5兆3000億円に達するという。そして、そのうちのおよそ半分が、収集運搬にかかっているという。

そして、収集運搬の方法が決して効率が良いものとはいえない。事業者からの回収要求に応じて、回収して収集拠点に戻るピストン輸送になっているのだ。回収量の大小に関わらず、1社の廃棄物を回収したら収集拠点に戻るため、収集に無駄なコストがかかっている。その背景には、複数の事業者を回って廃棄物を回収すると、それぞれの事業者が排出した廃棄物の量を把握できなくなり、それぞれの業者に課す廃棄物処理料金を算出できなくなってしまうという事情がある。

そこで、今回の実験では各事業者が回収待ち状態で保管している廃棄物の量を事前にセンサーで把握することで、各事業者に課す廃棄物処理料金を明確にし、回収が必要な事業者を効率良く巡回するルートを算出することで、輸送コストを削減することを狙う。

図 複数の業者を巡回して廃棄物を回収することで、輸送コストを削減する

図 複数の業者を巡回して廃棄物を回収することで、輸送コストを削減する

出所 西日本電信電話

この実験では、NTT西日本がセンサーからのデータを収集、蓄積、解析するシステムを提供し、NTT西日本グループのエヌ・ティ・ティ ネオメイトがLoRaWANの無線ネットワークを構築する。そして、同じNTT西日本グループのNTTビジネスソリューションズがシステム機器やネットワークサービス一式を提供する。

さらに、エックス都市研究所には産業廃棄物に関するコンサルティングと、実験の実施計画の策定、調査結果の分析を依頼した。加えてシンク・アンド・アクトは、各事業者へのヒアリングと産業廃棄物の実態調査を担当し、NISSHAはLoRaWAN通信機能を備える廃棄物量計測センサーの設計、開発、設置を担当した。

NTT西日本は今後、今回の実証実験で構成したシステムを、日本全国さまざまな地域への導入を目指すとしている。また、リサイクル可能な有価物の回収効率向上に流用することも計画している。


■リンク
西日本電信電話
NISSHA

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