西日本電信電話(NTT西日本)は2018年11月2日、LPWA(Low Power Wide Area)無線通信技術の1種である「Private LoRa」を活用して、マラソン大会などの出走者の現在位置を把握する技術を開発したと発表した。さらに、11月11日に宮崎県西都市で開催予定の「第69回男子・第31回女子 宮崎県中学校駅伝競走大会」で今回開発した技術を検証することも明らかにした。
図 マラソン大会などの出走者の位置情報をPrivate LoRaネットワークで送信する。左上は出走者用端末
出所 西日本電信電話
今回の技術で利用するPrivate LoRaは、フランスSemtechが開発したもの。同社が開発し、普及が始まっているLoRaWANと同じく920MHz帯の免許不要の電波を使用する。LoRaWANと同じように、ユーザーが中継器や親機を各所に設置し、通信エリアを作って使用する。
LoRaWANでは1回の通信で送信できるデータ量が固定化しているが、Private LoRaでは用途や状況に合わせてデータ量を設定できる。宮崎県中学校駅伝での検証では1回の通信で48バイトを送信するように設定する。このデータ量なら、位置情報送信に十分と判断したという。
出走者用端末には、GPS(Global Positioninig System)センサーと、Private LoRa通信機能を組み込み、タスキなどに入れられるサイズに抑えたもの。外形寸法は49×53.8×12.5mmで、重量は約23g。
端末からの位置情報データはPrivate LoRaネットワークを通して地図表示サーバーに送信する。チーム関係者や応援者はこのサーバーにWebブラウザやスマートフォンでアクセスすることで、地図上の選手の位置を確認できる。
今回の検証では、選手が端末を身に付けたときに違和感を感じないかということや、チーム関係者や応援者が見る位置情報画面の使いやすさや見やすさ、地図表示サーバーの処理性能、中継器や親機の通信性能を検証する。NTT西日本は今回の検証で得られるノウハウを利用して、マラソン、駅伝、自転車ロードレースなどさまざまなスポーツ競技、高齢者や子供の位置確認サービスなどに、今回開発した技術を応用していくとしている。
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