東京電力フュエル&パワー(東電F&P)は2017年12月12日、同社が運営する「横浜火力発電所」(神奈川県横浜市鶴見区)の改良工事がすべて完了したと発表した。横浜火力発電所には原油や液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)などを混焼する「1号機」~「6号機」と、LNGを燃料とするガスタービンコンバインドサイクルの「7号系列」「8号系列」がある。このうち1号機~4号機はすでに廃止となっており、5号機と6号機も長期停止中。稼働しているのはLNGガスタービンコンバインドサイクルの7号系列と8号系列のみ。この部分を改良して、発電量を上げながら燃料にかかるコストを大きく削減するのが今回の工事の狙いだ。
図 横浜火力発電所の全景
出所 東京電力フュエル&パワー
7号系列と8号系列には、ガスタービンと蒸気タービンをセットにした「軸」が4組ずつ、合計8組設置してある。2015年7月に7号系列の第2軸の交換が完了し、2016年には8号系列の第3軸、第4軸、7号系列の第1軸、第4軸の交換が完了。2017年に入って4月には8号系列の第1軸、7月には7号系列の第3軸の交換工事が終了し、残すは8号系列の第2軸のみとなっていた。今回、8号系列の第2軸の交換工事が完了し、すべての工事が終了した。
東京電力フュエル&パワーによると、7号系列と8号系列の合計8軸は、それぞれ定格出力が350MW(35万kW)で発電効率が54.1%だった。これが交換工事によって定格出力が377MW(37万7000kW)に、発電効率が55.8に上がった。これで7号系列、8号系列ともに合計出力は1400MW(140万kW)から1508MW(150万8000kW)となった。7号系列と8号系列を合計すると、その出力は2800MW(280万kW)から3016MW(301万6000kW)に上がったことになる。
全8軸の交換工事が完了し発電効率が向上した結果、定格出力を向上させながら、年間にかかる燃料費を合計でおよそ80億円節約できるようになったという。さらに、CO2排出量も合計で年間およそ24万トン削減できる見通しだという。
東京電力フュエル&パワーは富津火力発電所(千葉県富津市新富:しんとみ)で稼働しているガスタービンコンバインドサイクルの発電設備合計13軸の交換改良工事も進めており、2019年8月に完了する予定。この工事が完了すれば発電効率の向上により、年間で燃料費を100億円以上削減できる見通しだ。
■リンク
東京電力フュエル&パワー